藤子不二雄Ⓐさんお別れの会 会場にはアニメソング 軌跡たどる展示物もズラリ
4月に88歳で死去した人気漫画家・藤子不二雄Ⓐ(ふじこ・ふじお・えー、本名安孫子素雄=あびこ・もとお)さんのお別れの会が31日、都内で開かれた。漫画家・永井豪氏(77)、俳優・石坂浩二(81)、伊東四朗(85)、タレント・中川翔子(37)ら、関係者200人が出席。会場では代表作「プロゴルファー猿」などのアニメソングが流され、藤子Ⓐさんの軌跡をたどる展示物もズラリと並んだ。
悲しみに包まれるはずの空間は、日本中をとりこにした“藤子不二雄Ⓐワールド”のワクワク感でもあふれた。19年前に撮影された遺影は、漫画の構想を練っているかのような、頬づえをついたりりしい表情。展示スペースには藤子Ⓐさんが生み出した人気キャラクターが集結した。
歴代コミックの表紙を拡大したポスターが掲示され、「笑ゥせぇるすまん」の主人公・喪黒福造が行きつけの「Bar魔の巣」、相方の“F”藤本弘さんと暮らした「トキワ荘」を再現。Ⓐの形のモニュメントには「忍者ハットリくん」「ウルトラB」が描かれた。藤子Ⓐさんの等身大フィギュアや愛用のゴルフグッズも公開。参列者には「怪物くん」などのポストカードが配布された。
「笑ゥ-」のアニメが放送されたTBS系「ギミア・ぶれいく」で共演するなど、40年来の親交だった石坂は「あちこちのお店で人気者で、めちゃくちゃハシゴをして。実に誠実な方で、飲むのも真面目。あらゆることにタフで」と“酒豪伝説”を紹介。ドラマ版で喪黒役を演じた伊東は、一度はテレビ局からのオファーを断ったというが「先生に会って、『喪黒はアンタしかいない!』と言われて。(放送後に)良い視聴率で『よくやったね』とニヤッと笑ってくれました」と翻意への裏話を明かした。
大の漫画好きで、藤子Ⓐさんとはカラオケを一緒に楽しんだという中川は「いつも心の中に先生の存在がいます。永遠に、生きた証しとしてつながってほしい」としんみり。残された名作に希望を託していた。