急性硬膜下血腫のため１０月１９日に死去したザ・ドリフターズの仲本工事さん（享年８１）が出演予定だった舞台「『日本昔ばなし』貧乏神と福の神～つるの恩返し～」（１７日開幕、東京劇術劇場シアターウエスト）の稽古場取材が２日、都内で行われた。仲本さんが演じるはずだった貧乏神役を日替わりで務める片岡鶴太郎（６７）、生島ヒロシ（７１）、星田英利（５１）らが出席。片岡は「お弔い合戦」と表現し、代役の務めを果たすことを誓った。

　仲本さんが着るはずだった貧乏神の衣装をまとった片岡は神妙な面持ちで決意を口にした。オファーは約１週間前。台本を読み「これは仲本さんのための舞台だったんだな。さぞかしやりたかったんだなと」と仲本さんの無念に思いをめぐらせ、「ささげるつもりでやろうと決心して臨むことにしました」と明かした。

　仲本さんとは３０年以上前にドラマで共演し、その後もテレビ東京系「警視庁ゼロ係」で共演。「お弔い合戦と言いますか、霊を悼みながら舞台を務めさせていただき、これから稽古をしてよりよい舞台にしていきたい」と力を込めた。天国の仲本さんには「遺志を引き継いでやりますので、笑顔で見守っててくださいと言いたいですね」と話した。

　ＴＢＳアナウンサー時代からドリフと共演してきた生島は、舞台での本格演技初挑戦。「仲本さんには、あの笑顔で『気負わずやりなさいよ』なんて言われたことを覚えています」と思い出を口にし「できるかどうかは分からないが、仲本さんのすてきな笑顔と動きを思い出しながら、恥をかかないように頑張りたい」と力を込めた。

　代役は仲本さんと縁が深い２人に加え、「お笑い福の神」を演じる予定の星田が２役を務める。「（仲本さんの）思いはちゃんと背負わせていただいて、あとはお客さまのことだけ考えて」と真剣なまなざし。主演の小出恵介（３８）は１０月７日の制作発表会見の際に仲本さんの肩をもんだといい「感触は今でも覚えています」と胸中を吐露しつつ「新たな貧乏神様をお迎えして、一緒に豊かになる舞台を目指して頑張りたい」と意気込んだ。