市川新之助 成田屋最年少9歳で「外郎売」 涙ぐむファン 祖母希実子さん「いいな」
歌舞伎俳優の市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿(44)が7日、自身の襲名披露と長男の堀越勸玄改め八代目市川新之助(9)の初舞台となる東京・歌舞伎座「十一月吉例顔見世大歌舞伎」(28日まで)の初日を迎えた。無病息災を祈る成田屋伝統の「にらみ」を披露し、2024年秋まで続く襲名興行を華々しくスタートさせた。新之助は「外郎売(ういろううり)」に成田屋最年少で主演し、早口言葉を織り交ぜた言い立てを鮮やかに披露した。
成田屋最年少で主人公の「外郎売実は曽我五郎」役に挑んだ新之助は、花道から登場し「私の名は八代目市川新之助にござりまする~」と堂々とあいさつした。
共演の尾上菊五郎が八代目を紹介。新之助は「祖父・市川團十郎が作り上げました『外郎売』を十三代目團十郎が受け継ぎ、私が継承させていただきまする。一生懸命、相務めますれば、どうぞよろしくお願い申し上げ奉りまする」と立派に決意表明した。
外郎売といえば早口言葉の長せりふが見せ場。観客が固唾(かたず)をのんで見守る中、ミスなく披露。父と一緒に出演にした3年前の19年よりも感情豊かな言い回しで成長を印象づけた。ラストは花道で見えをし観客を魅了。「成田屋!」の大向こうの声が響き“小さな大役者”の誕生に涙ぐむファンの姿もあった。
終演後、取材に応じた祖母の堀越希実子さんは「頑張っているっていいなと思いました」と目を細めていた。