市川團十郎白猿 菊五郎、白鸚、仁左衛門から次々“愛のムチ”に感謝 襲名後初「にらみ」
歌舞伎俳優の市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿(44)が7日、自身の襲名披露と長男の堀越勸玄改め八代目市川新之助(9)の初舞台となる東京・歌舞伎座「十一月吉例顔見世大歌舞伎」(28日まで)の初日を迎えた。無病息災を祈る成田屋伝統の「にらみ」を披露し、2024年秋まで続く襲名興行を華々しくスタートさせた。新之助は「外郎売(ういろううり)」に成田屋最年少で主演し、早口言葉を織り交ぜた言い立てを鮮やかに披露した。
夜の部「口上」に新之助とともに出演した團十郎は、大先輩方の言葉にじっと耳を傾けた。
揃ったのは尾上菊五郎(80)、松本白鸚(80)、片岡仁左衛門(78)、中村梅玉(76)、市川左團次(81)の豪華俳優陣。菊五郎は「一時は“暴れん坊将軍”と呼ばれましたが、立派に歌舞伎十八番を勤める役者になられた」とユーモアを交えて祝福した。
白鸚は「これからの歌舞伎を担ってもらいたい」とエール。先代と仲が良かった仁左衛門は「互いの家に行き来して夜遅くまで遊んでおりました。その折に、ウロチョロしておりました小さな坊やが新團十郎さん」と十三代目を紹介するも「ご子息(新之助)の方がしっかりしていまして…」と新之助へ期待をかけ、笑いを誘った。
先輩たちの“愛のムチ”に團十郎は「とてもありがたい、すてきなお話を賜りまして、誠にありがとうございます」と感謝。「私はまだまだ未熟者で祖先の足元にも及ばないですが、一生懸命努力をし、精進する覚悟です」と深々と頭を下げた。新之助は「一角(ひとかど)の歌舞伎役者になりたい」と堂々と宣言。親子で芸道に励むことを誓った。
白鸚から「にらみ」を披露するように水を向けられ、「型ばかりではございますが、ご覧にいれまする」と成田屋に代々伝わる「にらみ」を襲名後初披露。迫力あるにらみに客席がどよめき、歌舞伎座に「成田屋!」の声が響き渡った。
團十郎は「勧進帳」で武蔵坊弁慶役、「助六由縁江戸桜」で花川戸助六役を熱演。「勧進帳」のラスト「飛び六方」での引っ込みでは、同公演のために「歌舞伎十八番」と團十郎と新之助を描いた祝幕を背に花道に立ち、満員の客席をぐるりを見渡して大見えをすると、観客から万雷の拍手が送られた。