中村吉右衛門さん 妻の知佐さん「77年の生涯は役者としての人生」 偲ぶ会で述懐

 中村吉右衛門さんの祭壇に飾られた遺影(撮影・伊藤笙子)
 中村吉右衛門さんの祭壇(撮影・伊藤笙子)
 「偲ぶ会」の会場に展示された舞台裏の写真
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 昨年11月28日に心不全のため亡くなった歌舞伎俳優で人間国宝の中村吉右衛門さん(享年77)を「偲ぶ会」が21日、東京都内のホテルで開催された。会場には、当たり役だった「熊谷陣屋」や「勧進帳」、楽屋での写真など計25点が展示され、約650人の舞台関係者やファンなどが名優との別れを悼んだ。

 祭壇は、本名の「波野」をイメージして形作られ、白を基調にコチョウラン、バラ、カーネーションなど5000本の花が飾られた。中央には2009年に初代吉右衛門さんの鏡台の前で撮影された、柔和な笑みを浮かべる写真。懇親会場には、吉右衛門さんの当たり役だった「熊谷陣屋」、80歳になっても演じたいと話していた「勧進帳」、舞台裏などの貴重な写真が手すきの伊勢和紙に印刷されて展示された。

 弔辞を述べた松竹の迫本淳一社長は「役を生きるという俳優の理想郷を体現した」と吉右衛門さんの功績をたたえ「もっともっと活躍し、後進の指導にも当たってほしかった。存在の大きさを痛感している」と喪失感を口にした。

 妻の波野知佐さん(66)はあいさつで、「77年の生涯は役者としての人生だった」と述懐。吉右衛門さんが昨年9月に孫の尾上丑之助(8)と「盛綱陣屋」で共演するのを楽しみにしていたといい「『丑之助には自分で稽古をするから』と準備をしておりましたので、実現がかなわなかったのは心残りだったかと存じます」と告白。孫たちからの絵や手紙に囲まれて旅立ったことを明かすと会場にすすり泣く声が響いた。

 取材に応じた知佐さんは「『1年早いですね』とお手紙をいただきますが、早いのか遅いのか、実感がないわけではないのですが、まだ言葉の整理ができておりません」と癒えぬ悲しみを口にした。一番の思い出には、吉右衛門さんが19年の「秀山祭」で丑之助と共演したことを挙げ「孫の初お目見え、初舞台を一緒にできたことがありがたいことでした」と話した。

 ◆主な参列者 尾上菊之助、尾上丑之助、寺嶋知世、坂東彌十郎、中村又五郎、中村米吉、田中傳左衛門、多岐川裕美、一色采子、尾美としのり ※順不同、敬称略

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