博報堂に家宅捜索 東京五輪テスト大会入札談合事件 独禁法違反の疑い
東京五輪・パラリンピックのテスト大会を巡る入札談合事件で、東京地検特捜部と公正取引委員会は28日、独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで、広告大手「博報堂」など4社を家宅捜索した。広告最大手の「電通」やイベント制作会社「セレスポ」も25日に捜索し、強制捜査の対象は事業を落札した9社のうち6社になった。電通、博報堂に続く業界3位の「旧アサツーディ・ケイ(ADK)」側は公取委に受注調整を自主申告しており、談合事件は業界全体に広がった。
9社が、その後のテスト大会や本大会の関連業務を随意契約で受注した総額は、東京都公表分で少なくとも約200億円に上ることも判明した。特捜部などは巨額の随意契約締結を見据え、談合が行われた可能性があるとみて調べている。
事業を発注した大会組織委員会で発注に関わった大会運営局が主導して作成し、競技ごとに実績のある企業をまとめた一覧表の内容が、運営局や企業の担当者間でメールで共有されていたことも関係者への取材で分かった。企業の割り振りに利用されたとみられる。
28日に他に捜索を受けたのは広告会社「東急エージェンシー」、イベント制作会社の「セイムトゥー」と「フジクリエイティブコーポレーション」。談合が疑われているのは、テスト大会の計画立案などに関する業務委託事業の一般競争入札で、2018年に競技会場1~2カ所ずつ計26件実施された。うちほぼ半数は1社しか応札せず、契約総額は約5億3800万円だった。
博報堂は「大井ホッケー競技場」など2件を計約4千万円、東急エージェンシーは「有明テニスの森公園」など3件を計約6500万円、セイムトゥーは「東京辰巳国際水泳場」など2件を計約6500万円、フジクリエイティブコーポレーションは「日本武道館」など2件を計約4千万円で落札した。同社はセレスポとの共同企業体で「有明アリーナ」も約1300万円で落札している。
博報堂と東急エージェンシー、フジクリエイティブコーポレーションは「捜査に全面的に協力する」とのコメントを出した。