将棋の藤井聡太五冠＝竜王・王位・叡王・王将・棋聖＝（２０）と羽生善治九段（５２）による棋王戦の挑戦者決定トーナメント敗者復活戦が８日、都内の将棋会館で指され、藤井五冠が１２８手で勝利。挑戦者決定二番勝負に進出し、本戦優勝の佐藤天彦九段（３４）と、渡辺明棋王（３８）への挑戦権を懸けて対局する。

　来年１月８日から始まる藤井五冠に羽生九段が挑む王将戦の前哨戦として注目が集まった一戦。藤井五冠が徐々にリードを広げると、冷静な指し回しで寄せ切った。これで対戦成績は藤井五冠の７勝１敗となった。

　対局を終えた藤井五冠は「うーん」と激戦の疲労のためか、なかなか言葉が出なかったが「お互いに似たような形が起こって、かなり激しい展開になった」と振り返った。

　年度内六冠の可能性が残る佐藤九段との棋王戦挑戦者決定二番勝負については「まずは第２局まで持ち込んで、盛り上げられるように頑張りたい」と抱負を語った。

　敗れた羽生九段は「打開の仕方に問題があったのかもしれません。ちょっとずつ苦しくなった」と話し「駒がぶつかった後から、ミスしたような…。何が悪かったか、今は分からないですね」と敗因を探っていた。

　年明けの王将戦で両者はタイトル戦初対局。藤井五冠が初防衛か、通算タイトル獲得１００期にあと１つの羽生九段が偉業達成か－。両雄の熱い戦いは、すぐそこまで迫っている。