江原真二郎さん死去 中原ひとみとおしどり夫婦 85歳、進行性核上性まひ CMでも人気
二枚目スターとして、日本映画史に残る名作に数多く出演した俳優の江原真二郎(えはら・しんじろう、本名土家基定=つちや・もとさだ)さんが、9月27日に進行性核上性まひのため横浜市内の施設で死去していたことが9日、分かった。85歳。京都府出身。葬儀は近親者で執り行った。喪主は妻で女優の中原ひとみ(なかはら・ひとみ、本名土家里子=つちや・さとこ、86)。
江原さんは2017年にパーキンソン病を発症し、昨年、介護施設に入った。所属事務所によると、9月12~13日頃に体調を崩し、誤えん性肺炎のような症状で介護施設から緊急搬送された。後に医療体制が整っている別の施設に入所し、1週間ほどで静かに息を引き取った。中原と娘らがみとったという。
江原さんは東映の大部屋出身で、1957年にキネマ旬報の1、2位を独占した今井正監督の映画「米」「純愛物語」に主演。内田吐夢監督の「宮本武蔵」シリーズでは吉岡清十郎役を演じた他、山本薩夫、家城美代治、深作欣二ら巨匠の名作に数多く出演した。映画以外でもアクションドラマ「スパイキャッチャーJ3」、梶原景時役を演じた大河ドラマ「草燃える」や、菊田一夫演劇賞を受賞した舞台「晩菊」など、幅広く活躍した。
中原とは「米」で兄弟役、「純愛物語」で恋人役を演じ、60年に結婚。おしどり夫婦として知られ、長男の俳優・歩さん、元タレントの長女と家族で出演した歯磨き粉のCMでも人気を博した。90年には歩さんが26歳の若さで事故死する悲劇に見舞われたが、告別式の日も舞台に立ってから葬儀場に駆けつけるなど役者魂を貫いた。
15年に2人で朗読を担当した映画「薩チャン正ちゃん 戦後民主的独立プロ奮闘記」の初日舞台あいさつにそろって登場した際には「彼女は東映1期のニューフェースで私は大部屋。ギャップがすごくて」と出会った頃の思い出を披露。「先輩というのは一生、僕から離れないんじゃないか」などと仲むつまじい姿を見せていた。