がん闘病の坂本龍一 2年ぶりピアノソロ公演「最後になるかも」も「ここに来て新境地」

 音楽家の坂本龍一(70)が11日、無観客ピアノ・ソロ・コンサートを配信した。ソロでのコンサートは2年ぶり。ステージ4のがん闘病中で体調面も心配されるため、事前収録という形で60分間のコンサートを開いた。

 闘病中の坂本は「コンサートをやりきる体力がない。この形式での演奏を見ていただくのは、これが最後になるかもしれない」と現実を受け止め、9月中旬に1日に数曲ずつ丁寧に収録。これが編集でまとめられた。

 今回の演奏が行われたのは、坂本が「日本で一番良いスタジオ」と太鼓判を押す、東京・NHK放送センター内の509スタジオ。米NYから招集した映画制作チームが結成され、坂本が演奏する姿も丁寧に切り取った。

 映画「戦場のメリークリスマス」のテーマ曲ほか、バンド「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」時代の「東風」など全13曲を披露。病に冒されようともキツい顔を一つも見せず、優しい調べを奏で続けた。

 本編はトークなしの構成で、真剣に音楽と対話した。本編終了後に初めて口を開いた坂本は「初めてピアノソロで弾く曲が随分あって、ピアノソロ用のアレンジは慎重に考えてやりました。選曲も慎重にやったので、自分としては“ここに来て新境地”かなという思いもあります」と達成感に満ちあふれた笑顔を浮かべていた。

 坂本は、昨年1月に直腸がんの手術を受けたことを公表。今年6月には自身がステージ4であり、両肺に転移したがん摘出手術を昨年10、12月に受けたことを明かしていた。

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