佐藤蛾次郎さん死去 山田洋次監督「渥美清とのコンビ無くして、寅さんシリーズは成り立たなかった」
国民的人気を誇った映画シリーズ「男はつらいよ」の源公役などで知られる、俳優の佐藤蛾次郎(さとう・がじろう、本名忠和=ただかず)さんが10日までに、虚血性心不全のため都内の自宅で死去していたことが12日、分かった。78歳。大阪府出身。葬儀は近親者で行った。喪主は長男で俳優の佐藤亮太(49)。後日、お別れの会を予定している。シリーズを支えた名脇役の訃報に、寅さんファミリーから悲しみの声が相次いだ。
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◆「男はつらいよ」シリーズの山田洋次監督「50年以上昔、大阪で、ある作品のオーディションを行った時、時間に遅れてニヤニヤ笑いながら現れた彼の強烈な印象はいまだに忘れられない。渥美清が仁王様、その足に踏んづけられている天邪鬼が佐藤蛾次郎。このコンビ無くして、寅さんシリーズは成り立たなかっただろう。典型を生み出すという、大きな仕事を、彼は小柄な身体、ユニークな表情、愛嬌のあるガラガラ声で表現してくれた。『男はつらいよ』シリーズを支えたレギュラーメンバーがまた一人減って、寂しくなりました」
◆倍賞千恵子(寅次郎の妹・さくら役)「ガジさんとは、よくお電話で近況や昔話をしていましいたね。今日は葛飾にでかけるので、久しぶりにお電話でもしてみようとしていたときに知らせを聞き、とても驚いています。残念でなりません。まさか『寅さん』でこんなに長くお仕事ができるとは思ってもいませんでした。ガジさんが怪我をして映画に出られなかたったとき、渥美さんとお見舞いに行ったら『えへへ』と笑って言い訳をしていた姿が懐かしいです。とっても優しく愛妻家だったガジさん、もう奥さまに会えましたか?」
◆吉岡秀隆(寅さんの甥っ子・満男役)「撮影の時に必ず差入れしてくださる蛾次郎さんのつくったカレーの味と、『満男、うまいか?』と少年のような笑顔で聞いてくださったことが昨日のことのように思い出されます。スタジオの片隅にいる僕をいつも気にかけてくださったこと、忘れません。ありがとうございました」