水木一郎さん逝く アニソンの帝王貫いた「生涯現役」がん闘病の中11・27ラストステージ 74歳
“アニソンの帝王”と呼ばれた歌手の水木一郎(みずき・いちろう、本名早川俊夫=はやかわ・としお)さんが6日午後6時50分、肺がんのため、都内の病院で亡くなったことが12日、分かった。所属事務所が発表した。74歳。東京都出身。昨年4月にがんが発覚、病と闘いながら「生涯現役」を貫いた。車いすで熱唱した11月27日のライブがラストステージとなった。告別式は近親者のみで執り行われ、後日、お別れの会を開く。
鼓舞するような雄々しい歌声で数々のアニメソングを届けてきた帝王が力尽きた。
昨年4月末に声帯不全まひの症状があり、検査を受けたところ、リンパ節転移と脳転移を伴う肺がんが発覚。ステージ4だった。今年7月26日に闘病中であることを公表。入退院を繰り返しながら放射線治療や薬物療法を行う一方、生涯現役を目指して言語聴覚士や理学療法士によるリハビリを欠かさず、ステージに立ち続けた。
11月8日の「日本歌手協会歌謡祭」では、いつでもベッドで休めるように会場と同じビルのホテルに部屋を用意。主催側は体調が悪化したときに備え、コーラス隊を準備させていたが、見事に歌い上げた。司会を務めた森口博子(54)と「来年は2人でデュエットしよう」と話していたという。
11月27日に“アニソンの女王”堀江美都子(65)と行った公演「ふたりのアニソン」が最後のステージ。声はかすれていたが車いすから「バビル2世」を合唱し、最後はお決まりのZポーズで「愛してるゼーット」と締めくくった。12月6日に救急搬送先の病院で永眠。生涯現役を有言実行し、1年7カ月の闘病生活に終止符を打った。
実家がレコード店を経営しており、音楽に囲まれて少年期を過ごした。68年に歌謡曲歌手としてデビューするも挫折。71年にアニメ「原始少年リュウ」のテーマ曲を歌ったことでアニソン界へ。「マジンガーZ」や「宇宙海賊キャプテン・ハーロック」の主題歌などヒット曲を連発し、当時は軽視される風潮があったアニソンの地位を向上させた。
持ち歌は1200曲以上。NHK「おかあさんといっしょ」の2代目うたのおにいさんを務めたことも相まって「アニキ」と呼ばれ、愛された。
所属事務所は公式サイトで「『生涯現役』を目標に、治療とリハビリに励み、活動を続けてきました。思うようなパフォーマンスができなくなってもその強い意志は変わらず、最後のステージとなった11月27日のライブでも満面の笑みを浮かべておりました」と伝えた。
◆永井豪氏(「マジンガーZ」の作者)「テーマソングを大ヒットに導いてくれた恩人です。マジンガーZが、50年もの長きにわたって、人気を保ち続けることができたのは、水木さんのおかげです。毎回、歌うたび、決して気を抜かず、愛と魂を込めてテーマを歌い続けた水木さんの力です」(公式ツイッターから)
◆水木一郎(みずき・いちろう)1948年1月7日、東京都出身。68年に歌謡曲歌手としてデビュー。71年に「原始少年リュウ」の主題歌を発売後、「マジンガーZ」「ルパン三世」「仮面ライダー」シリーズなどの人気作を歌い、1200曲ものアニソンに携わった。“アニソンの帝王”と称され、ファンからは「アニキ」と呼ばれた。2021年4月、リンパ節移転と脳転移を伴う肺がんが発覚し、今年7月に公表していた。