マスク拒否男「魔女狩りだ!」有罪判決に法廷で裁判長へ詰め寄り騒然
ピーチ・アビエーション機内で新型コロナウイルス感染対策のマスクの着用を拒否し、客室乗務員にけがを負わせ、安全な運航を妨げたとして、傷害や威力業務妨害などの罪に問われた明治学院大の元非常勤職員奥野淳也被告(36)に、大阪地裁の大寄淳裁判長は14日、懲役2年、執行猶予4年の判決を言い渡した。奥野被告は判決後、法廷で「まるで中世の魔女狩りだ」などと裁判長に大声で詰め寄り、廷内が騒然となる一幕もあった。
奥野被告の湧き上がる感情は、法廷という場でも抑えられることはなかった。この日もノーマスクで出廷すると、被告席で腕を組み、時に首をひねって判決を聞いた。判決後は法廷で「まるで中世の魔女狩りだ。私は無罪で冤罪(えんざい)だ」と大寄裁判長に大声で詰め寄り、廷内は騒然。閉廷後の取材に「謝罪も反省も一切するつもりはない」と堂々と宣言した。
裁判長は客室乗務員の証言や同機の交信記録などから、被告が機内で大声を上げるなどした行為は航空法上の安全阻害行為に当たるとして、航空法違反や威力業務妨害の罪を認定。「自身の思いの強さに起因した犯行で、行いを省みる姿勢に乏しい」と指摘した。
検察側は、被告が客室乗務員の腕をひねって負傷させ、同機は新潟空港への臨時着陸を余儀なくされたと主張。判決は乗務員が負傷したとまでは認定せず、臨時着陸の必要性は「不明」とした。
判決などによると、被告は2020年9月、釧路発関西行きの機内でマスク着用を拒んだことを巡り他の乗客に侮辱されたとして大声で謝罪を要求。安全阻害行為をしないよう求める命令書を渡した客室乗務員の腕をひねった。21年4月には千葉県館山市の飲食店でマスク着用を拒んで店の業務を妨害し、駆け付けた警察官の顔を殴った。
判決では、乗務員に対する傷害罪の成立は否定し、暴行罪にとどまるとした。マスク着用拒否と運航妨害との因果関係などには言及しなかった。求刑は懲役4年だった。