セクハラ自衛官5人懲戒免職 上司ら含め計9人処分 元陸上自衛官性被害

 元陸上自衛官の五ノ井里奈さん(23)が性被害を訴えた問題で、防衛省は15日、体を触るなど性暴力のセクハラに関与したとして、男性隊員5人を懲戒免職にした。被害の訴えを受けながら、訓練の多忙を理由に十分な調査をしなかったとして、所属していた中隊長の1等陸尉は停職6カ月の懲戒処分とした。

 陸自トップの吉田圭秀陸上幕僚長は記者会見で、五ノ井さんに対し「心から申し訳ない。悲しくつらい思いをさせ、強い責任を感じている」と述べた。

 防衛省によると、他に性的発言をした3尉が訓戒、性暴力に気付かなかったなどとして大隊長の2等陸佐が注意、連隊長の1佐が口頭注意となり、計9人を処分。五ノ井さんが主張した事実関係はほぼ確認されたという。

 防衛省の調査結果によると、五ノ井さんは所属していた中隊の隊員から日常的に抱きつかれたり、格闘の技をかけられたりした。昨年6月には演習場で、無理やり胸を触られたりキスされるなどした。同月には演習場の宿泊施設で押し倒され、覆いかぶさられて腰を押しつけられ、動かすなどされ、口止めもされた。五ノ井さんから訴えを受けた中隊長は「訓練優先」と多忙を理由に十分な調査をしなかった。

 五ノ井さんは今年、自衛隊をやめ、インターネット上で活動を開始。ハラスメント被害の実態解明や体質改善を訴え、発信を続けてきた。この日は「加害者は処分の重さに関係なく、誠意を持って責任をとっていただきたい」とツイートした。

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