劇作家・谷賢一氏セクハラ疑惑で新作公演中止 主演の南果歩「本当に残念」

 「家を壊す-他、短編-」の通し稽古をする南果歩(手前)=15日、福島県南相馬市
 取材に応じる劇作家の谷賢一氏=福島県双葉町
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 東京電力福島第1原発事故を題材とした劇作家・演出家の谷賢一氏(40)の新作「家を壊す-他、短編-」の、福島県南相馬市の劇場で予定されていた16~19日の全5公演の中止が15日に決まった。谷氏が主宰する劇団の女優がセクハラを告発したことが理由。女性が谷氏に550万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴していたことも16日、女性側の弁護士への取材で分かった。出演予定だった女優の南果歩(58)は16日、SNSで女性の主張に理解を示し、「本当に残念でならない」とつづった。

 女性はSNSで、谷氏に2018年6月から昨年3月まで日常的に胸や尻を触られる、卑わいな言葉をかけられるなどの性被害を受け続け、「もっと深刻な、辛すぎる性加害」もあったと訴え、谷氏には「エントラップメント型ハラスメントや環境型パワーハラスメント」もあったとしている。現在は適応障害・うつ病を患い通院、投薬治療を受けていると説明している。

 谷氏は公式サイトで「彼女の文章は事実無根および悪意のある誇張に満ちており、受け入れられるものではありません」などと反論した。かつての自身のハラスメントを認めた上で、16年にパワハラを受けた経験から考え方を変えたとし、「司法の場で争う所存」「取り下げて頂くまで戦う覚悟」と記述。16日の取材にも「絶対になかったと訴えていく。徹底抗戦です」と答えた。

 谷氏は原発誘致から事故までの歴史を描いた「福島三部作」で岸田国士戯曲賞を受賞した。「家を壊す」は原発事故で放置された自宅を壊すか残すか決断を迫られた家族の物語などを朗読劇、演劇の二部構成で上演する作品。15日午後には南らが南相馬市の劇場で通し稽古を行ったが、その後に投稿が判明。深夜に中止が決まった。

 南は「福島で生み出す演劇に意義を感じていました。本当に残念でなりません」とツイート。「(女性の)並々ならぬ心情を思うと、致し方ない判断だと思います」と女性の主張に理解を示した。

 谷氏が演出部に所属する劇団青年団を主宰する平田オリザ氏は16日、谷氏の退団措置をとったことを公表。劇団の公式サイトで「他の関係者の証言もあることから大筋の告発は事実であったと思われます」と理由を説明した。

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