M-1優勝ネタ順も後押し ウエストランド10番目→決勝1番で唯一「8分の漫才」に

 漫才日本一決定戦「M-1グランプリ 2022」は、18日の決勝でウエストランドが優勝して幕を閉じた。今回は改めてネタ順の重要さを思い知らされた。

 ウエストランドが登場したのは最終10番目。あるなしクイズの毒舌漫才で3位に食い込んだ。最終決戦でも同様のネタを披露し、7人中6票集めての完勝。2002~16年まで9組出場だった期間が長いとはいえ、10番目からの優勝は史上初。今年のウエストランドにとっては、ネタ順がかなり追い風となったと思われる。

 一番はネタを連続で披露できたことだ。本大会では最終決戦は上位のコンビからネタ順を選べるため、3番目さや香(1位)、2番目ロングコートダディ(2位)、1番目ウエストランド(3位)となった。10番目で高評価を受け、観客や審査員がもっと見てみたいと思った記憶があせていない状態で、間髪入れずに数分後、さらに予想を超えた漫才を見せることができた。

 ネタの形式が同じだったのもあり、1組だけ8分間の濃密な漫才を見たように感じられた。記者室から見ていても、一番ウケていたのは最終決戦のウエストランド。「これはすごいぞ」という空気が醸成されているとは感じた。

 とはいえ、そもそも10番目で勝ちきることが難しい。10番目は他の出場者を全員見送ってからのネタ見せで、緊張感もひとしお。しかしウエストランドは、2020年の初決勝で10番目の経験がある。所属事務所のタイタン・太田光代社長は「河本太がかなり緊張していた。でも2年前も最後だったのでその経験も生きたと思います」と分析。「10位よりつまらない9位だった」と井口浩之が語った悔しい経験も背中を押した。また事務所の後輩キュウが9番目で「事務所ライブのような空気だった」(井口)のもリラックスできた要因の一つだろう。

 一方でネタ順による不利も大きく感じた。「1番手が不利」との共通認識があるが、優勝したのは第1回の中川家のみで、最終決戦まで行けたのも05年の笑い飯だけ。以降5番手まではそれぞれ1組しか優勝がない。それに対して6~9番手はそれぞれ3回優勝。わかりやすく後半に出てくる方が有利である。

 正直なところ、上位に入ってもおかしくないと思っていたカベポスターが1番手となってワースト3位。1番手だとどうしても審査員も様子見となってしまうが、84点を付けた山田邦子に「僕たちのこと忘れてますよね」と言っていたのは、冗談だとは思うが心が痛んだ。

 2017年からは笑神籤(えみくじ)が導入され、それまで最終番手登場していた敗者復活含めて、当日その場でのランダムとなった。とはいえいまだに前半登場の不利は改善されていない。敗者復活枠をハンディとして1番手に固定する、スタジオの昨年優勝者がネタを披露して場を温める…など、売れたいと願って命がけでいどむ若手漫才師たちが、なるべく登場順に関わらず公平に審査される環境作りも必要に思えた。

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