藤井聡太竜王が棋王戦挑戦権獲得 初挑戦で年度内六冠制覇へ 八冠独占は「まだ」
将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖との五冠=20)が27日、東京・将棋会館で指された、第48期棋王戦挑戦者決定二番勝負第2局で佐藤天彦九段(34)に81手で勝利し、棋王初挑戦を決めた。年度内六冠をかけ、来年2月5日に長野市で開幕する渡辺明棋王(38)との五番勝負に臨む。
年内ラストの大一番を“挑戦権獲得”という最高の形で締めくくった。負ければ終わりの敗者復活戦から怒濤(どとう)の連勝で迎えたこの日、振り駒で先手となった藤井竜王は「横歩取り」の戦型を選択。中盤の混戦から抜け出すと、冷静な指し回しでリードを広げ押し切った。
終局後は「今まで棋王戦では上に進めなかったんですが、一局一局を何とかやっていった結果、挑戦につなげることができてうれしく思います」と回想。渡辺棋王を「対局状況に合わせて、うまく作戦を練ってくる印象」と分析した上で「(六冠は)意識せずに、今まで通りの気持ちで臨みたい」と、あくまで自然体で臨むことを強調した。
棋王初挑戦に加え、名人への挑戦権をかけた順位戦でも現在単独首位を走るなど史上初の八冠独占へ向け波に乗る藤井竜王だが「自分では全く意識することではないと思っています。まだ実力も足りないと思っていますし、現地点で目指すということではない」とキッパリ。「少しずつ実力を高めていく中で、そういったことが見えてくれば」と謙虚に語った。