思い込め合掌「むすぶ1・17」 阪神・淡路大震災から28年、3年ぶりコロナ前の規模
6434人が犠牲となった1995年の阪神・淡路大震災は17日、発生から28年となった。兵庫県内各地で追悼行事が開かれ、参加者は地震発生の午前5時46分に合わせて黙とうや祈りをささげた。
神戸市中央区の公園「東遊園地」では、発生時刻の午前5時46分を告げる時報が鳴り響くと、「1995 むすぶ 1・17」の文字を形作る竹や紙の灯籠約1万本に火がともり、遺族や市民らがそれぞれの28年に思いを込め、手を合わせた。
犠牲者の氏名を刻んだ「慰霊と復興のモニュメント」がある東遊園地では恒例の「1・17のつどい」を開催。主催側によると、灯籠で作る文字「むすぶ」は公募で選ばれ、「過去と未来を結ぶ」「経験者が知らない世代に語り継ぐ」などの声が反映された。訪れた人はゆらめく炎に静かに合掌。コロナの影響で2年続けて灯籠を例年の半数程度に縮小したが、今年はコロナ前の規模に戻った。
神戸市主催の追悼の集いもあり、神戸大生だった長女志乃さん=当時(20)=を亡くした遺族代表の上野政志さん(75)は「娘の無念さ、将来の夢や思いを実現できないまま志半ばで逝ってしまった体験を通じ、『生きることの意味』について伝えたい」と語り、「志乃の足に触れた時の氷より冷たいという感触、助け出せない情けない自分を鮮明に覚えている。災害から学ぶ教訓を生かす必要がある」と誓った。
被災者の高齢化が進行、新型コロナウイルスの影響で追悼行事も減少傾向が続き、風化への懸念は年々高まる。一方、今回は3年ぶりにコロナ禍前の規模に復活した行事もあるなど「ポストコロナ」への明るい兆しもみられ、震災を経験していない次世代への教訓伝承が焦点となる。