芥川賞に井戸川射子さん、佐藤厚志さん 直木賞に小川哲さん、千早茜さん
第168回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が19日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は井戸川射子さん(35)の「この世の喜びよ」(「群像」7月号)と佐藤厚志さん(40)の「荒地の家族」(「新潮」12月号)、直木賞は小川哲さん(36)の「地図と拳」(集英社)と千早茜さん(43)の「しろがねの葉」(新潮社)に決まった。賞金は各100万円。贈呈式は2月下旬に都内で開く。
井戸川さんは1987年兵庫県生まれで、詩人としても活動。受賞作は、中学生の少女と交流する中で、育児の記憶がよみがえる女性の心の動きを繊細に描いた。佐藤さんは82年仙台市生まれ。受賞作は、宮城県で造園業を営む男性を主人公に、東日本大震災から積み重なった時間と喪失を丹念につづった。
小川さんは86年千葉県生まれ。受賞作は、旧満州(中国東北部)を舞台に、架空の町の興亡を雄大なスケールで描いた。千早さんは79年北海道生まれ。受賞作は、戦国から江戸時代の石見銀山を舞台に、過酷な環境を生き抜いた女性の一代記。