岸田文雄首相の秘書官の荒井勝喜氏（５５）は３日夜、ＬＧＢＴなど性的少数者や同性婚を巡り記者団に「隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」と差別発言をした。首相は４日、荒井氏を更迭し「大変深刻に受け止めており、任命責任を感じている」と視察先の福井県で語った。首相側近である秘書官の問題発言による更迭は異例。政権運営が厳しさを増すのは確実だ。

　荒井氏は３日夜、オフレコを前提にした記者団の非公式取材に官邸で応じた。首相が同性婚の法制化に関し「社会が変わってしまう課題だ」と国会で答弁したことを質問され、差別発言を展開。同性婚制度に関し「秘書官室は全員反対で、私の身の周りも反対だ」と強調し、導入された場合は「国を捨てる人、この国にいたくないと言って反対する人は結構いる」とも語った。

　その後、再びオンレコで取材に応じ、発言を撤回、謝罪した。

　首相は更迭理由に関し、多様性を尊重し包摂的な社会を実現していくとする「内閣の考え方に全くそぐわない、言語道断の発言だ」と説明。立憲民主党の泉健太代表は「官邸内の空気が多様性とは程遠いものになっているのではないか」、共産党の小池晃書記局長は「首相自身の価値観や家族観が問われている」と指摘した。