仲邑菫三段 13歳11カ月、最年少タイトル 上野女流棋聖を撃破 「世界戦で戦える棋士に」

 最年少タイトルホルダーとなり、笑顔を見せる仲邑菫三段
 上野女流棋聖(手前)を破った仲邑三段
 プロ初段免状を手にする仲邑菫さん=2019年3月
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 囲碁の第26期ドコモ杯女流棋聖戦3番勝負第3局が6日、東京・日本棋院で行われ、中学生棋士、仲邑菫三段(13)が上野愛咲美女流棋聖(21)に勝利し、対戦成績2勝1敗で女流棋聖位を奪取。13歳11カ月での史上最年少タイトルホルダーとなった。これまでの記録は2014年に藤沢里菜女流本因坊(24)が会津中央病院杯を制して達成した15歳9カ月で、1年10カ月もの大幅更新となった。

 衝撃のプロ入りから3年10カ月。念願のタイトルに史上最年少で到達した仲邑新女流棋聖は、記念すべき瞬間も笑みを見せず、あくまで淡々と迎えた。それでも局後の会見では、やや大人びた“菫スマイル”も浮かべ、「実力的に、取れたのは奇跡だと思う。すごく早かったと思います」と喜びを口にした。

 19年1月「英才特別採用」の第1号棋士となった際には、「中学生の間にタイトルを取りたい」と宣言した。実際に昨年4月、第33期女流名人戦3番勝負で13歳1カ月での史上最年少タイトル挑戦を果たしたが、藤沢里菜女流名人(当時)に敗退。同7月にも第7回扇興杯女流最強戦で決勝進出したが、牛栄子四段(当時)に敗れた。特に扇興杯では、勝勢で終盤を迎えながら逆転負け。「扇興杯はタイトルのことばかりを考えてだめだったので、今日はそこまで考えず、意外と冷静に打てました」と、苦い経験を快挙につなげた。

 4年前の“予告”に「適当なことを言っちゃったなと」と苦笑いしつつ、「タイトルを取るということはすごく大きなことだと思うので、実際に達成出来たことはすごく自信になりました」と満足げ。井山裕太三冠による男女混合タイトル戦の最年少記録・16歳4カ月の更新にも期待がかかるが、今後については「世界戦で戦える棋士になりたい」と、早くも海外の最強棋士たちへと視線を向けた。

 張り詰めた対局が続く中、息抜きは音楽鑑賞。シンガー・ソングライター、miletのファンだといい、自身へのご褒美に「miletさんのライブに行きたい」とニッコリ。あどけなさも残す“天才少女”は、名実共に女流棋界をリードする存在となった。

 ◆囲碁の女性タイトル戦 現在、全ての女性棋士に参加資格があるタイトル戦は五つ。タイトル保持者と挑戦者が3番もしくは5番勝負で争う挑戦手合制の棋戦は、女流本因坊戦、女流名人戦、女流立葵杯、女流棋聖戦の四つ。他にトーナメントで優勝者を決める扇興杯女流最強戦がある。

 ◆仲邑 菫(なかむら・すみれ) 2009年3月2日生まれ、大阪府出身。父は日本棋院関西総本部所属の仲邑信也九段、母は元囲碁インストラクターの幸さん。3歳で囲碁を始め、19年4月、小学生までの採用制度「英才特別推薦棋士」の第1号としてプロ入り。21年1月に日本棋院関西総本部から東京本院に移籍。22年4月、第33期女流名人戦3番勝負に挑戦し、史上最年少の13歳1カ月でのタイトル挑戦を果たした。

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