日常の徹底、共感を呼ぶ 「ブラッシュアップライフ」バカリズム脚本に安藤サクラら細やかな“味付け”

 女優・安藤サクラ(36)が主演を務める日本テレビ系ドラマ「ブラッシュアップライフ」(日曜、後10・30)が話題を集めている。バカリズム(47)が脚本を手がけるタイムリープヒューマンコメディー。物語は折り返しを迎え、視聴者の関心は高まるばかり。同作が共感を得る理由はどこにあるのか。同局の小田玲奈プロデューサーに話を聞くと、バカリズムの異彩を放つ脚本と、安藤をはじめとする俳優陣の細やかな“味付け”の相乗効果が見えてきた。

 安藤演じる近藤麻美がある日突然、人生をゼロからやり直すことになるタイムリープヒューマンコメディー。毎話終了後にはツイッターを中心に話題を席巻している。

 放送開始当初は不安もあったという。「ドラマにすることもない会話をずっとしている。こんなドラマチックじゃないものを放送して大丈夫だろうか」と小田プロデューサー。1話は冒頭の約25分、麻美と門倉夏希(夏帆)、米川美穂(木南晴夏)の仲良し3人組の会話シーンが中心だったが「『3人のおしゃべりだけで面白い』と言ってくれた時には、心の底からホッとしました」と振り返った。

 この「ドラマにすることもない」場面を描くことが、バカリズム脚本のすごみの一つという。3人組がカラオケ店で、そこで働くかつての同級生・福田俊介(染谷将太)からポテトのサービスを受けた際に、罪悪感を感じながら「食べ切れないよね」と話した場面を例に挙げ「そんなドラマ見たことない。でも、誰もが経験して、みんなが私も思ったって思うから、共感を得る。そこを書くところはすごい」とうなる。

 バカリズムの描く脚本を俳優陣が体現。アドリブは基本なく、台本通りに進むが、そこには細かな味付けがあるという。

 「そんな自然な会話を、じゃあ読めば自然な会話になるかって言われたらそうでもなく、バカリズムさんの脚本って本当に上手な人じゃないとできない」

 3人組の会話場面は、スマホを触る、お菓子を取り分けるなど、何かをしながら展開される。「段取りから考えて、こういうことってやるよねってみたいな」。演じる側もとことん日常を突き詰める。1話を見たバカリズムは「生々しくてすごい」と驚嘆していたという。

 キャスティングも普通な人を求めた。「ファミレスで隣の席にいても、女優さんかなっていう3人じゃなくて、なんかいるよねこんな3人っていう感じにしようと」。安藤についても「一番、“普通”ができるんじゃないかと」と起用理由の一端を明かした。

 安藤は民放連続ドラマ初主演。人生1周目は市役所職員、2周目は薬剤師、3周目はテレビ局員とさまざまな顔を見せる。「3周目はなんとなく背中が丸っこかったり、1周目は女性らしさがあったり…」。同じ麻美でありながら、細かく演じ分ける姿に、バカリズムも「こういう時、麻美がどう動くか(安藤に)聞いて」とスタッフに要請するほど信頼しきっているといい、安藤も「長い期間すごく一緒に作っている感じがしてすごく楽しい」と話しているという。

 タイムリープという非日常な設定の中で、共感を呼ぶ日常の徹底。バカリズムの脚本と俳優陣の細やかな味付けの相乗効果で、物語は“ブラッシュアップ”されている。

 【あらすじ】 実家住まいの33歳独身の市役所職員・近藤麻美(安藤)は事故に遭って死亡するが、死後の世界の案内人(バカリズム)に宣告されて人生をやり直す。現在は4周目の人生が描かれており、19日放送の第7話では勉強に打ち込み、県内トップの高校を出て国立大の医学部に入学し、医師免許を取得し大学院へ。3周目まで仲の良かった2人の親友とは距離が離れてしまったが、研究医を目指してエリート街道をひた走る。

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