松本零士さん死去 ちばてつや「君も逝ってしまったのか」 60年以上苦楽を共にした親友へ思い吐露

 「宇宙戦艦ヤマト」や「銀河鉄道999」などの大ヒット作を生み出してきた漫画家の松本零士(まつもと・れいじ、本名晟=あきら)さんが13日午前11時0分、急性心不全のため都内の病院で亡くなったことが20日、わかった。東映などが発表した。85歳、福岡県出身。葬儀は近親者で執り行った。喪主は妻で漫画家の牧美也子(まき・みやこ)さん。後日、お別れの会を開催する予定。    

  ◇  ◇

 漫画家松本零士さんが85歳で死去したことを受け、漫画家のちばてつや氏(84)が追悼文を公表した。売れない時代をともに過ごし、60年以上の長きにわたり、切磋琢磨(せっさたくま)してきた亡き親友への思いを吐露した。

【親友 松本零士さんの訃報に接し】  

 松本零士さんが高校を卒業して北九州の小倉から上京したばかりのツメエリ姿、当時19歳の彼と出会って60年以上が経ちました。

 ワシもデビューした翌年の18歳。

 同じマンガ家の卵、トシが近いせいもあって意気投合、本郷三丁目にあった西陽差し込む4畳半の彼の下宿にはよく遊びに行ったものです。

 二人ともまだ稼ぎも少なく満足に食べられなくてね。

 松本さんはよく「座布団のようなビフテキを食べたい!」なんて言いながらマンガを描いていました。

 二人そろって締め切りに追われ、同じ旅館にカンヅメにされて一緒に机を並べて仕事をしたものです。

 当時からワシは遅筆だったので、先に原稿を終わらせた彼に手伝ってもらうこともありました。

 忙しい盛りの40歳の頃に、一緒に世界旅行にも行きました。

 その時に訪れたアマゾン川やマチュピチュの遺跡などはいちばんの思い出です。

 コロナ禍もあってしばらく会う機会もなく、ぼんやりと心配はしていたのですがまさか…言葉もありません。

 ここ数年、親しいマンガ家仲間が次々と旅立って淋しい思いをしていたのに、君も逝ってしまったのか。

 もう…体中の力が抜けていくよ。

     ちばてつや

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