“上野のアイドル”シャンシャン旅立ちにファン涙 沿道埋め尽くした人々に見送られ中国へ
かわいらしいしぐさで愛された“上野のアイドル”が旅立った。21日、中国への返還のためジャイアントパンダ、シャンシャン(雌、5歳)が東京・上野動物園を出発した。園周辺では早朝から、パンダグッズを身に着けたファンらが沿道を埋め尽くし、涙ぐみながら手を振り続けた。午後1時前に成田空港発のチャーター機で日本を離れ、午後6時15分ごろ(日本時間)中国四川省の空港に到着。繁殖パートナーを探すことになる。
シャンシャンを乗せたトラックは午前7時10分ごろ、手を振る飼育担当者らに見送られ園を出発。福田豊園長は「たくさんの方々を幸せな気持ちにしてくれてありがとうと言いたい。パンダの保護研究に寄与してくれることを期待したい」。沿道では園職員や警備員らが対応に当たり、トラックがゆっくりと通過すると、ファンらは一斉にカメラやスマートフォンを向けた。
「顔は見られないけど、同じ場所にいたい」。神奈川県茅ケ崎市の主婦牛島由美子さん(69)は始発で駆け付けた。「寂しいけれど、母親のシンシンみたいに良いママになってほしい」と語った。
成田空港の展望デッキにもファン数十人が集結。千葉県浦安市の女性会社員(60)は「自分の子どものような存在。『幸せになってね』と言いたい。中国へいつでも会いに行けるよう貯金もしてある」と話した。
上野動物園によると、シャンシャンは出国手続き中にリンゴやタケノコを食べた。機内で落ち着かない様子で動いていたものの、餌を少量食べており問題はないという。長時間の移動によるストレスを和らげるため、園職員2人が同行。現地では陸路で中国ジャイアントパンダ保護研究センターの雅安碧峰峡基地に移動。検疫を受けて飼育先が決まる。
小池百合子都知事は「たいへん愛された。中国で元気に、パンダの保全に貢献してほしい」と語った。在日本中国大使館の報道官はパンダが「両国国民の心を結び付けている」とし、帰国後のシャンシャンにも注目してほしいと呼びかけた。
シャンシャンは17年6月に生まれ、同園で初めて自然繁殖で順調に成長したパンダ。同12月、上野生まれとしては29年ぶりに一般公開され大ブームに。雌は3歳半~4歳半で繁殖適齢期に入るとされ、シャンシャンは今年、発情が確認された。