17歳少年が刃物を手に中学校に乱入、元刑事が見解「惨事防いだ60歳教員を称賛すべき」
3月1日午後0時25分ごろ、埼玉県戸田市の中学校に刃物のようなものを持った男が侵入し、男性教員(60)に切りつける事件が発生した。容疑者はさいたま市に住む17歳の男子高校生で、埼玉県警に殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は一夜明けた2日、デイリースポーツの取材に対し、身を挺(てい)して犯人を取り押さえた教員の行動を「称賛すべき」と評した。
少年が校舎3階に侵入した際、教室で試験監督中だった60歳の男性教員が不審な様子に気づいて対応。刃物で何度も体を切りつけられながらも、他の教員と協力して犯人を取り押さえたという。県警によると、この教員は上半身を複数箇所切られていたが、命に別条はないという。生徒にけが人はなかった。
小川氏は「試験中に教室に入ろうとしてきた容疑者を制止し、もみ合いになり、上半身を複数刺される等のけがを負いながらも、他の教師とともに容疑者を取り押さえたという教員の機転と勇気で大惨事は防ぐことができました」と指摘した。
同氏は「昨今、学校の教師による、生徒に対するワイセツな行為や盗撮などの不祥事の記事を目にします。また、いじめの問題に関し、校長や教頭、担任の教師までもが、いじめを隠ぺいしている事実がある中、この中学校の60歳の教師らの行動は『生徒を守る』ために身をていして防いだ行動だと改めて感じました」と絶賛した。
その上で、小川氏は「先生の上半身を複数回切ったということは犯人に殺意があったということが分かる。『上半身』といっても、どの付近をどのくらいの強さで切ったか、負傷の程度等まだ詳細は分からないので心配です。全生徒も心のケアが重要」とも語った。
一方、逮捕された少年は容疑を認め、「誰でもいいから人を殺したかった」と供述しているという。
小川氏は「この『誰でもいい』という『誰でも』とは(相手が)子どもなのか、大人なのか。学校に侵入しているというところからみると、『被害弱者』と言われる子ども(生徒)を狙った可能性がある」と分析した。
捜査関係者によると、隣接するさいたま市内の小学校や公園等で切断されたネコの死骸が見つかった2月の事件について容疑者の少年が関与を示唆しているという。小川氏は「小学校や公園で猫の体の一部が発見された時点で、過去の例から見て一番恐れていたことが、今回隣接する戸田市の中学校で起きたわけです」と指摘した。
今後について、小川氏は「容疑者である少年宅の家宅捜索、本人のスマートフォンや通信機器、SNSの投稿等の確認、凶器の入手経路、この中学校を狙った理由、下見していたかなどの計画性を防犯カメラ等で精査することなど、これからやることはたくさんあります。動機等の解明にポイントを置いた取り調べになると思います」と解説した。