将棋の第４８期棋王戦五番勝負第３局が５日、新潟市「新潟グランドホテル」で指され、藤井聡太竜王（２０＝王位、叡王、王将、棋聖との五冠）が渡辺明棋王（３８＝名人との二冠）に１７４手で敗れ、シリーズ成績を２勝１敗とした。最年少六冠達成は次局以降に持ち越しとなった。将棋界屈指の終盤力を誇る藤井竜王だが、一時は渡辺名人を詰みまで追い込みながら、手順を間違えて大逆転負けを喫した。第４局は１９日、栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」で指される。

　戦型は得意戦法の角換わり腰掛け銀。しかし中盤で誤算があったか、渡辺名人に大きくリードを許し、難解な終盤戦に突入。お互い一分将棋で一進一退の攻防が続く中で、一時逆転するも、まさかの詰み逃して逆転負け。最後はミスに気がついたか何度か自分の頬を叩き、かなりうなだれたようすで午後８時過ぎに投了を告げた。

　終局後も「終盤はずっと苦しいと思っていたんですが、最後にチャンスがあったので、そこは少し残念。でも全体的に負けの局面が続いていたので仕方ない」と無念の表情。「また切り替えていい状態で臨めるようにしたいです」と前を向いた。

　過密日程を強いられている。２月後半から週に２局ペースで全国各地を転戦している。２日は静岡市内で順位戦最終局に勝利し、８日に広瀬章人八段と名人挑戦権をかけプレーオフ。１１、１２日は佐賀で王将戦第６局があり、羽生善治九段（５２）に勝てば防衛となる。最速今秋の年内八冠に向けて、正念場が続く。