将棋の王将戦で初防衛を果たした藤井聡太王将（２０＝竜王、王位、叡王、棋聖との五冠）が１３日、佐賀県上峰町で一夜明け会見を行った。前日に羽生善治九段（５２）を８８手で破り、通算成績４勝２敗し、世紀の一戦を制した。

　熱戦の疲れをにじませつつも、穏やかな笑顔を見せた。「防衛することができてホッとしている。貴重な経験ができた」。奪取へ王手をかけた棋王戦で六冠目、名人戦も勝てば七冠目、年内八冠も現実味を帯びているが、「八冠は期待していただけるのはうれしく思いますが、自分としては意識する段階ではありませんし、目の前の一局に全力を尽くしたい」と語った。

　前日、野球のＷＢＣ１次ラウンドを全勝で終え、注目を集める日本代表についての質問も。次戦の準々決勝イタリア戦（１６日）から参戦されては？というジョークに、「野球はあまり詳しくなくて申し訳ないです。学校の体育の授業でソフトボールをやったけど、打てたためしがないので、見るだけにしようかなと思います」と笑いを誘い、活躍する大谷翔平投手らについて「注目される試合でパフォーマンスを出せるのはすばらしいことだと思うし、刺激にもなりますし見習っていきたいと思います」と語った。

　この日からマスク着用が個人の判断に委ねられることになり、将棋連盟からも対局中のマスク着用が任意となる。対局中のマスク着用は、思考などに「全く影響がないとは言えないし、あるところはある。しかし社会的情勢に合わせて判断されるものなので、規定に合わせて対応していきます」と語った。今後対局で外す可能性については「局面や状況によっては考えられるかなと思います」と話した。