大友康平 67歳の今も20代のまま キーは変えない「意地でも歌ってやる」
ロックバンド「HOUND DOG」のボーカル・大友康平は、67歳の今もコンサート活動を続け、ロックの様式美を貫いている。今年は大阪・東京でツアー「ALL TIME BEST」(18~19日、大阪・森ノ宮ピロティホール。24~25日、東京・EX THEATER ROPPONGI)を開催予定。「僕はキーを変えない」と、20代と変わらないパフォーマンスを続ける。
1980年のデビュー以来2000回以上のコンサートを開催。2016年以降も毎年、公演を行ってきた。「若い時は一晩寝ればどんなカスカス声も治ったんですが、50(歳)過ぎてからは…」。現在は声帯の筋肉を維持するためボイストレーニングに通い、「ステージで息切れしないように」とジムで走り込みもする。
「はたちくらいで一番苦しいキーで作った曲を60代後半で歌おうとしているわけですから、つらいんですよ」と苦笑しながらも、20代に作った曲をキーを変えることなく歌っている。
ギターの響きを重視し開放弦と呼ばれる音で作られた当時の曲には、高い声が必要になるといい「自己満足ですけどね。メロディーと言葉と全体のイメージが伝わればいいんですけど、意地でもキーを変えずに歌ってやるんだというのはあります」と、プライドをにじませた。
昨年は同学年の桑田佳祐(67)や世良公則(67)らによるチャリティーソング「時代遅れのRock´n´Roll Band」のミュージックビデオにドラムとして参加。大みそかのNHK「紅白歌合戦」にも出演した。「お互いに『昔のキーで歌えてるの?』という話になりました。世良はすごかったですね。『あんたのバラード』を昔のままで歌ってました。やっぱりすげえな、って思いました」と、「ライバル」として同時代を駆け抜けた仲間の活躍にも刺激を受けた。
目指すパフォーマンスは「ストロングスタイル」だ。近年は、TikTokなどのショート動画が流行した影響でイントロを省略する楽曲が世に現れたが、「僕らは70年代ロックの洗礼を受けた。ストーンズやビートルズの良い見本があった。わくわくするイントロ、導入部のAメロ、さく裂するサビっていう様式を美しいと思って曲を作ってきた。それを変える気もないですし、若い人にそれを聞いてほしい」と、自身が影響を受けた様式美を保ち続ける。
「自分がイメージするステージができなくなったらやめる。でも、イメージするものに完全に追いついたことがまだ一度もないから『まだいける』と思うのであれば、やる意味がある」。デビューから43年がたつ今も理想のロックンロールを求め続ける。
◆大友康平(おおとも・こうへい)1956年1月1日生まれ。宮城県塩釜市出身。76年、東北学院大学在学中に学校の仲間とHOUND DOGを結成し、80年にシングル「嵐の金曜日」でメジャーデビュー。代表作に「ff(フォルティシモ)」、「BRIDGE」などがある。俳優としては90年に初出演・初主演映画「ゴールドラッシュ」でデビュー。2022年のTBS系ドラマ「マイファミリー」など話題作にも出演した。