ＴＢＳ系特撮ドラマ「帰ってきたウルトラマン」の主人公・郷秀樹役で知られる俳優の団時朗（だん・じろう、本名・村田秀雄＝むらた・ひでお）さんが２２日午前４時１４分、肺がんのため亡くなったことが２４日、分かった。７４歳。京都市出身。葬儀は近親者のみで行う。訃報を受けて、歴代のウルトラマン俳優らが団さんの旅立ちを悼んだ。

　人々に愛されたヒーローが旅立った。

　団さんは２０１７年夏に肺がんと診断を受けた。定期通院しながら前向きに仕事を続けていたが、２２年末に体調が悪化。最期は入院して治療を受けていたが力尽き、関係者にみとられたという。

　所属事務所アルファエージェンシーの万代博実社長は公式サイトに「悲しいお知らせです」と文書を公表して団さんの永眠を伝え、「病気になってからも、ユーモアと優しさを失わず、生きるパワーに満ち溢れて仕事に邁進しておりました」とその生きざまを記して悼んだ。

　団さんは１９６８年、資生堂の男性用化粧品ブランド「ＭＧ５」のＣＭでセンセーショナルにデビュー。その後、出演した７１年の「帰ってきたウルトラマン」（ＴＢＳ系）は代表作となった。人類の自由と幸福を守るために戦う、防衛組織ＭＡＴの隊員・郷秀樹を演じて人気を博した。

　ウルトラマンファンから長く愛され、子どもの頃に見ていたというファンから事務所へ電話がかかってきたり、海外からファンレターが送られてきたりしたこともあり、団さんは励みにしていたという。

　８４年の舞台「ハムレット」でフォーティンブラスを演じて以来、活躍の場を舞台に移し、森光子さん主演の芸術座公演に出演するなど舞台俳優としての地位も確立。得意な歌を生かし、９１年にはＴＢＳ系アニメ「ドラゴンクエスト・ダイの大冒険」の主題歌を担当。日本人離れした意思の強い顔立ちにロマンスグレイ、確かな演技力でテレビ、映画でも幅広い役柄を演じた。

　最後の出演作は２２年５月放送のＮＨＫＢＳプレミアムドラマ「京都人の密かな愉しみ　Ｂｌｕｅ　修行中『門出の桜』」だった。

　２１年には「帰ってきたウルトラマン」の放送開始５０年記念のイベントに出演していた団さん。りりしい隊員姿はファンの記憶に永遠に刻まれる。

　◆団時朗（だん・じろう、本名・村田秀雄＝むらた・ひでお）。１９４９年１月３０日生まれ、京都市出身。６８年に「ＭＧ５」のＣＭでデビュー。７１年、「帰ってきたウルトラマン」で主人公・郷秀樹を演じた。８４年、舞台「ハムレット」にフォーティンブラス役で出演。１４年のＮＨＫ大河ドラマ「軍師官兵衛」、１１年の連続テレビ小説「カーネーション」、１６年「べっぴんさん」、１９年「まんぷく」などにも出演。

　◆帰ってきたウルトラマン　１９７１年４月２日から７２年３月３１日まで、ＴＢＳ系で全５１話が放送された。ウルトラマンシリーズとしては「ウルトラＱ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」に続く第４作で、「ウルトラマンＡ（エース）」「ウルトラマンタロウ」「ウルトラマンレオ」と続く「昭和第２期ウルトラシリーズ」の第１作とされる。怪獣と戦う防衛チーム・ＭＡＴや、巨大変身ヒーロー・ウルトラマンの活躍を描いた作品で、同作のウルトラマンは後に「ウルトラマンジャック」と命名された。