パパイヤ鈴木 おやじダンサーズ25周年の秘けつは「何も期待しない」不完全さと生々しさと
振付師でダンサーの「パパイヤ鈴木とおやじダンサーズ」が、1998年の結成から25周年の記念ライブを4月1、2日に東京・I’MA SHOWで開催する。
デイリースポーツの取材に応じたパパイヤ鈴木(56)は「お互い何も期待していない、当てにしていないのがよかった」と25年続いた秘けつを告白。世界一に輝いたWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)にも感化されたことを明かした。
1998年にパパイヤの呼びかけで集まった4人。それぞれがトレーラー運転手、出張整体師などの本業を持ち、普段はさえないおやじたちが突然かっこいいダンスを踊り出したら…というテーマで活動を開始した。すると桑田佳祐の目に留まり、サザンオールスターズのCMに出演。日本テレビ「THE夜もヒッパレ」で人気を獲得し、グループもデビュー…そんなこんなで、25周年にたどりついた。
「最年長の中島ジュテームは68歳。リハーサルで間違えると『何やってんだよ』と怒るんですけど、年齢を考えたらすごいことやってるね、俺たち」とパパイヤは笑う。
長く続いた秘けつは、あてにしてないことだ。「おやじダンサーズの活動をあてにしていると、生活できないとか、もっと仕事をよこせみたいな話になる。でも、自分たちの生活があった上で、アフター5をダンスで楽しむのが発端。ボクも彼らに何も期待していないし、彼らも僕に期待していない。だからお互い、腹が立たない」
部活のような濃い人間関係と思いきや、「友達関係?まったくない。打ち上げ以外で飲みに行ったことも、僕は一度もない。どこに住んでいるかも知らない。ステージがあるときだけ会う人たち。でもその久しぶり感がいい。『元気にしてた?じゃ、練習しよっか。覚えてないね、わっはっはっは』みたいな」
お互いに依存しすぎず、干渉しすぎない。大人の一番いい距離感を5人で共有したのが、25年の活動期間を実現してきた。
もう一つ。期待しないから「完璧を求めない」。これも大事な要素という。
「誰でもできるんだから、みんなやりませんか、というのが僕らのメッセージの原点。だから、間違えても全然いい。エンタメとかダンスは正解がないから間違いもない」
いいかげんにやるということではない。プロとしてのクオリティーを求めつつも、“ゆるさ”を残す。
「日本のエンタメって、完璧なものではなくて『今の私たちを見て』ということ。不完全でも、生々しさが残ってないと面白くない。うちらは、最近あるんですよ『そろっちゃいましたね』ということが」。うっかり完璧に近づいて苦笑するのが、おやじダンサーズなのだ。
先日、日本中を熱狂させたWBC。パパイヤは興奮するとともに「勉強になった」と語る。
「優勝できた最大の要因は、栗山英樹監督の人柄と思う。人間というのは本当に人柄が大事だな。人間が集まってやることって、技術の上に人間性というのがあるんだと感じた。エンタメも一緒。うちもダンサーに採用するか、一番大事にするのは人間性。技術はうまくなるけど、人間性は治らないから」
次のWBCが行われる2026年。パパイヤは還暦を迎える。
「ダンスって、年代によって変わる。若い子は若い子の、おじさんにはおじさんのダンスがある。ボクの師匠が言うんですけど『踊るんじゃない、一番かっこいいのは揺れるんだ』って。きっとそうなっていく。おやじダンサーズのステージも楽に軽くやれたらいいですよね」
還暦を超えて、30周年へ。おやじたちのダンスタイムはまだまだ終わらない。