渡辺徹さん 文学座の誇り 劇団先輩・角野卓造が別れの言葉 中村雅俊は新人時代の色紙懐かしむ
昨年11月28日に敗血症のため61歳で亡くなった、俳優の渡辺徹さんのお別れの会が28日、都内のホテルで行われた。故人の人柄から約200人の芸能人を含めた総勢約1200人を集めた会は、文学座の先輩・角野卓造(74)と中村雅俊(72)がお別れの言葉を送り、笑いあり涙ありの明るい式典となった。喪主は妻でタレントの榊原郁恵(63)と、長男でタレントの渡辺裕太(34)が務め、集まった人々に感謝の言葉を述べた。
渡辺さんが在籍し続けた文学座の先輩2人が、お別れの言葉を送った。
現在は文学座の代表も務める角野卓造は「早すぎだろ、徹!もっと一緒に仕事がしたかった。もっとバカ言い合って大笑いをしたかった」と、突然旅立った後輩に語りかけた。
俳優としてはもちろん、歌手としても大ヒットを飛ばし、司会業など幅広く活躍した渡辺さんをたたえた上で「渡辺徹は生涯、文学座の団員でした。俺たち劇団員は、そのことを誇りに思っているよ。ありがとう」と偲んだ。
中村雅俊は渡辺さんのデビュー時に「いつまでもあると思うな人気と仕事」という直筆メッセージを入れた色紙を送ったことを明かした。「俺はこう書きました。お前は憤慨していたそうですね。これからデビューしようという若い役者にそれはないと」。
渡辺さんは昨年9月に中村と共演したトーク番組「徹子の部屋」の収録にその色紙を持参してきたという。
「見たら本当に黄ばんだ色紙で。ずっと自分の部屋に飾ってあったと聞いて、俺、本当に泣きそうになりました。徹ってそういうやつなんですよね」と懐かしんだ。
開会のかけ声を担当した内藤剛志(67)は、こみあげる気持ちを抑えられず、会の台本にはなかった言葉「徹、会いたいよ!」を口にしたという。1983年の8月にドラマ「太陽にほえろ!」で初めて渡辺さんと一緒に仕事をした時の思い出を披露し「その日、初めての子どもが生まれた日で。徹が『監督!内藤さんに子ども生まれたんで撮影中止にしてください!』って」と笑顔で振り返り、「アイツがいないと思うと寂しい」としみじみ話した。