渡辺徹さん 笑いあり涙あり 1200人明るく追悼 郁恵「声が聞きたくて夢にも出てこなくて」
昨年11月28日に敗血症のため61歳で亡くなった、俳優の渡辺徹さんのお別れの会が28日、都内のホテルで行われた。故人の人柄から約200人の芸能人を含めた総勢約1200人を集めた会は、文学座の先輩・角野卓造(74)と中村雅俊(72)がお別れの言葉を送り、笑いあり涙ありの明るい式典となった。喪主は妻でタレントの榊原郁恵(63)と、長男でタレントの渡辺裕太(34)が務め、集まった人々に感謝の言葉を述べた。
太陽のような優しい温かさを持つ渡辺さんの魅力が詰まったお別れの会となった。祭壇は、渡辺さんと榊原の好きな赤やオレンジなどをテーマに、ひまわり、カーネーションなど計1万1850本の花で彩られた。その中央では渡辺さんが優しくほほ笑んでいた。
榊原の「明るく送りたくて。もう一度お父さんに会いたい、いろいろな渡辺徹を見てほしい、声を聞いてほしい」という思いから昔からの映像を用いたVTRを作成。「最後に頑張っていた舞台の様子も流してもらって、会えたと思った」と振り返った。
入院からわずか1週間での他界。それだけに榊原とともに喪主を務めた長男・裕太は「父親自身、悔しかったんじゃないかなと思います。本日はもし、父親の人生最後に一人一人と話をするならば『渡辺徹はこんなことを話しただろうな』と思い浮かべながらこの時間を過ごしてほしい」とあいさつした。
渡辺さんが亡くなった後も気丈に振る舞ってきた榊原に裕太。ただ、突然の訃報をすべて受け入れられているわけではない。裕太は「正直なことを言うと、本当にまだ実感がない」。葬儀の手続きなど慌ただしい日々の中「何とか父親と話したいと思って、夜一人で目をつぶって笑顔の父親を思い返して。父がなにを言うか想像しました」。父の声が聞こえた。「『裕太、あとは頼んだぞ、渡辺家をよろしく頼むな』って言ってくれた気がした」と語った。
榊原は「(亡くなって)4カ月、自問自答する度に、悔やまれることしか出てこなくて」と偽らざる胸中を吐露。「裕太は元気な声を聞いたみたいですけど、私のところには現れず。『お父さん、(おばけのような)変な姿で表れないで、怖いから』って言ったからなのかな。でも声が聞きたくて。夢にも出てこなくて」と続けた。
それでも再び気丈さを取り戻し「この会をするにあたり、皆さん、渡辺徹のためなら、徹のためならということでいろいろなことをやってくれた。何てこの人は愛されているんだ、この人はこうして皆さんと向き合ってきたんだと思いました」。そして「今日、ここにいないのが残念です。でも皆さんの心の中には、私が知らない渡辺徹さんの姿があると思います。そんなエピソードをいっぱい聞きたいです」と話した。
献花と並行して行われた懇談会では渡辺さんプロデュースのお笑いライブ「徹座」の面々が思い出話を披露。涙あり、笑いありの式典となった。
あいさつの冒頭、榊原は「本日は曇りだと思っていたのに涙雨ですかね」と語っていた。だがいつしか空の雲は晴れ、青空の中に太陽が浮かんでいた。
◆主な出席者(敬称略・順不同) 西川きよし、和田アキ子、笑福亭鶴瓶、山田邦子、角野卓造、中村雅俊、サンドウィッチマン、浜田雅功、小川菜摘、石原良純、森末慎二、大和田獏、内藤剛志、徳光和夫、名取裕子、小堺一機、野口五郎、鶴見辰吾、松村邦洋、向井理、東ちづる、薬丸裕英、モト冬樹、柴田理恵、渡辺えり、吉田沙保里、山田美保子、中井美穂、友近、林家三平、野々村真、熊田曜子、山崎静代、中川家、ますだおかだ、タカアンドトシ、ウド鈴木、U字工事、TKO、大井川和彦茨城県知事、針谷力古河市長