病と壮絶に戦った坂本龍一さん がんとコロナ語っていた「随分と揺さぶられるっていうのかな、自我が」 3月28日に死去

 2010年8月夏フェスに出演したYMO
 1993年4月10年ぶりの復活会見を行ったYMO(左から)細野晴臣、坂本龍一さん、高橋幸宏さん
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 世界的な音楽家で、“教授”の愛称で親しまれた坂本龍一(さかもと・りゅういち)さんが3月28日、都内の病院で死去していたことが2日、分かった。71歳。

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 3月28日に亡くなった坂本龍一さんは、NHKで1月5日に放送された、昨年12月の配信ライブのドキュメンタリー番組「坂本龍一 Playing the Piano in NHK & Behind the Scenes」で、がんに冒された自身の体調や、精神状態の変化などを静かに、時に笑みも浮かべながら吐露していた。

 番組冒頭で「2020年6月にがんであることが分かりまして、それ以来、あまり表立った活動はしてなくて、現在は治療を続けています」と告白。体力が落ちたことなども隠し立てすることなく語り「1時間とか1時間半とかの通常のコンサートは難しい」と説明した。番組の公式発表によると、撮影は8日間かけて実施され、1日2、3曲ずつを時間をかけて収録していったという。

 入院中は「雨の音を聞いたり、景色を眺めたりしながら」過ごしていたといい、退院するたびに体力の低下を感じつつも「曲を作ってみたいなって気持ちまで、気持ちが回復してきたら、スケッチをかいてました」と音楽制作に取り組んでいたという。

 さらに自身の病気とコロナ禍による心境の変化にも言及。「『人生観』っていうと、古くさい言葉だけど、大きく変わりましたね。世界的なパンデミックっていうことと、個人的な病気が重なって起きてきたので、随分と揺さぶられるっていうのかな、自我が」と語り「きらびやかな世界じゃなくて、枯れた世界」にひかれるようになったとも打ち明けていた。

 また、生前最後となったアルバム「12」を1月17日に発売した際にはレコード会社を通じてコメントを発表。「何を作ろうなどという意識はなく、ただ『音』を浴びたかった。それによって体と心のダメージが少し癒される気がしたのだ」などと音楽への渇望を明かし、「今後も体力が尽きるまで、このような『日記』を続けていくだろう」と、スケッチという言葉を用いて、楽曲制作への衰えぬ意欲を示していた。

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