坂本龍一さん 環境保全や脱原発に力 同じ目線で寄り添った被災地支援

 テクノポップバンド「YMO」の活動や、「戦場のメリークリスマス」「ラストエンペラー」などの映画音楽でも知られた音楽家・坂本龍一さんが、3月28日に死去した。

 坂本さんは環境保全活動や脱原発運動に熱心に取り組んだ。森林保全団体「モア・トゥリーズ」の代表も務め、今年3月にはがんと闘いながら「目の前の経済的利益のために先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではない」と東京・明治神宮外苑の再開発に反対した。

 「坂本さんが行動してくれたことで、より多くの人々に問題を知ってもらった」。高層ビル建設や樹木の伐採を伴う神宮外苑再開発の見直しを求める米国人コンサルタントのロッシェル・カップさん(58)は感謝。「会って、木について話したかったけど非常に悲しい」と残念がった。坂本さんの死後、再開発に反対するオンライン署名に賛同する人が増えているといい、「彼の分も頑張って、最後の願いをかなえたい」と力を込めた。

 坂本さんは2011年3月に発生した東日本大震災の被災地支援にも積極的に取り組んだ。岩手県住田町の仮設住宅を訪れた際は、目の前で代表曲「戦場のメリークリスマス」を演奏した当時14歳の少女に、「これからもピアノを続けてね」っと笑顔で励ましの言葉をかけた。その後も家族ぐるみで交流を続けた菅原綾乃さん(25)は「一流の音楽家なのに同じ目線で寄り添ってくれた。気さくで温かさにあふれた人だった」と亡き坂本さんを振り返った。

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