歌舞伎俳優の市川猿之助（本名・喜熨斗孝彦＝きのし・たかひこ＝４７）が１８日午前、都内の自宅で倒れ意識もうろうとなって緊急搬送されたことが分かった。自宅を訪れたマネジャーが猿之助と両親が倒れているのを見つけて１１９番通報。捜査関係者によると、母の喜熨斗延子さん（７５）は自宅で、父で歌舞伎俳優の市川段四郎さん（同弘之＝７６）は搬送先でそれぞれ死亡が確認された。猿之助は命に別条はないが、現場の状況から自殺を図ったとみられ、警視庁は回復を待って経緯を聴く方針。

　歌舞伎界を揺るがす衝撃的な事態が発覚したのは１８日の午前１０時１５分ごろ。明治座の公演に出演する猿之助宅をマネジャーが訪れた際、返答がなかったために室内を確認。倒れている３人を発見して通報に至ったという。

　捜査関係者によると、猿之助は半地下にある自室のクローゼット内で首をつった状態で見つかり、そばには猿之助が書いたとみられる遺書のような書き置きがあった。意識がもうろうとはしていたが、搬送時は呼びかけに反応があったという。

　また両親は２階のリビングで、床に並んだ状態で首から下には布団が掛けられていた。目立った外傷は確認されておらず、警視庁は１９日に遺体を司法解剖する予定で同日中に結果が出るもよう。父の段四郎さんは、１９６９年に歌舞伎座で四代目段四郎を襲名して活躍した俳優。猿之助と両親は３人暮らしとみられ、猿之助から経緯を聞く方針だが、捜査関係者は「一両日中にできる状態ではない」と話している。

　都内の閑静な住宅街にある猿之助宅では、多くの警察関係者や事務所関係者が出入りして実況見分が行われた。周辺道路には規制線が張られ、警察官が鑑識作業を進めるなど物々しい雰囲気に。外に出て困惑の表情を浮かべる近隣住民の姿もあった。

　近くに住む７０代男性は午前１１時ごろ、猿之助と父親とみられる男性が酸素マスクをつけて搬送されるのを見たといい「意識がなさそうに見えたので心配だ。猿之助さんは散歩中に会うとあいさつしてくれることもあった」と振り返った。

　猿之助を巡っては、雑誌「女性セブン」が「歌舞伎激震の性被害」の見出しで、ハラスメント疑惑を報じていた。ただ現時点では今回の件との関連性は一切不明。

　猿之助は８日に投稿したインスタグラムで、明治座での７日夜の部公演で宙乗り１４００回を達成したと報告。周囲のスタッフへの感謝をつづり「見に来てくださったお客様に幸せが訪れますようにとの希いをこめて、これからも翔び続けますので、よろしくお願いします」（原文ママ）と投稿していた。

　猿之助に何が起こったのか。真相究明が待たれる。

　◆厚労省のホームページで紹介している主な電話相談窓口は次の通り。

　▽いのちの電話

　（０５７０）７８３５５６（午前１０時～午後１０時）

　（０１２０）７８３５５６（午後４～９時、毎月１０日は午前８時～翌日午前８時）

　▽こころの健康相談統一ダイヤル

　（０５７０）０６４５５６（対応の曜日・時間は自治体により異なる）