藤井聡太名人誕生の地 人口6609人長野県高山村に全国から将棋ファン続々!大盛況
「第81期名人戦七番勝負・第5局2日目」(1日、長野県上高井郡「緑霞山宿 藤井荘」)
将棋の藤井聡太竜王(20=王位、叡王、棋王、王将、棋聖との六冠)が渡辺明名人(39)を94手で破り、対戦成績4勝1敗で名人を初奪取した。谷川浩司十七世名人(61)の名人最年少記録「21歳2カ月」を40年ぶりに更新し、「20歳10カ月」で最年少名人を達成。また羽生善治九段(52)に並ぶ史上2人目の七冠を達成し、羽生九段の年少記録「25歳4カ月」を4年6カ月更新し、最年少七冠を達成した。残るは王座のみで初の八冠制覇に王手をかけた。
歴史的な対局場となった「緑霞山宿 藤井荘」は、避暑地としても知られる長野県高山村に位置し、山田温泉をひく老舗旅館。200年以上前から温泉がわき出ており、森鴎外、与謝野鉄幹・晶子、菊池寛、会津八一などの文豪も愛した伝統ある旅館だ。
高山村は人口6609人の小さな村。村関係者によると、名人戦誘致は「藤井荘」のおかみ・藤沢晃子さんの発案。内山信行村長にも協力を仰ぎ、村を盛り上げるために取り組んできた。そのかいあって2021年の名人戦第4局で初開催し、2度目の開催で藤井名人誕生の地として全国に知れ渡ることになった。
対局中は旅館には関係者、報道陣のみ立ち入り可能だったが、多くのファンが対局地を一目見ようと旅館前に訪れ、写真撮影を行った。藤井荘関係者は数日前から将棋ファンが来館するなど盛況ぶりに舌を巻き、「藤井荘」で藤井聡太名人誕生に「不思議な縁があるのかもしれませんね」と話した。
開催が決まってからは、村民も含めた実行委員会を設置し準備。この日、同村で開催された大盤解説は160人先着で早々に完売。全国から将棋ファンが集まり、歴史に刻まれる対局を見守った。旅館近くに位置する信州高山村観光協会でも、パブリックビューイングを実施し、近隣住民や将棋ファンが駆けつけた。同村在住の高校1年の男子学生は「将棋が好きでよく見ている。近くに藤井さんがいるのが信じられない。藤井さんが勝ったら高山村が有名になる」と目を輝かせた。