将棋連盟新会長・羽生善治九段 伝統継承へ「力いっぱい尽くす」 棋士総会と理事会で決意表明

 (左から)森下卓常務、井上慶太常務、脇謙二専務、羽生会長、清水市代常務、西尾明常務、佐竹康峰常務、片上大輔常務
 今後の抱負を語る羽生善治新会長(撮影・堀内翔)
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 日本将棋連盟の第74回通常棋士総会と理事会が9日、都内で行われ、羽生善治九段(52)が新会長に選任された。来年に将棋連盟創立100周年を迎え、藤井聡太竜王・名人(20=王位・叡王・棋王・王将・棋聖との七冠)というニューヒーローの活躍で盛り上がる将棋界。史上初の全七冠制覇、永世七冠、国民栄誉賞などの金字塔を打ち立てたレジェンドが、先頭で将棋界を導いていく。

 少し緊張した面持ちの羽生新会長は、会見で「将棋界は諸先輩の方々が必死の思いで約100年の歴史を紡いできました。伝統を次の世代にいい形でつないでいけるように、力いっぱい尽くす所存です」と力を込めた。

 立候補は期限の3月末に決めたという。「運営している諸先輩方の姿を見て、私自身が本当の意味で将棋連盟や将棋界に貢献できるのかとずっと考えていた。最終的にはこのタイミングで出てみようと」。理事初選出で、運営に初めて携わることになる。「立候補して大丈夫か、迷惑をかけるのではという不安要素を考えていた。それが今も消えてはいないが、取り払って全力で仕事に臨みたい」と本音ものぞかせた。

 同世代で親交の深い佐藤康光前会長(53)から大任を引き継ぐ。「激務で毎日大変な思いで仕事をこなされている姿を見ていました。私自身も同じように働けるのかと考えもしたけど、大変さを見つめながら立候補した」と決意も深い。

 プレーヤーとしては前人未到のタイトル100期まであと一つ。今年の王将戦では藤井王将に惜しくも敗れたが、現在も好調をキープしている。多忙な会長職は棋士業への影響も必至だが、「忙しくなった方が時間管理をして、メリハリを付けながら活動していくこともできると考えています」と前向きに捉えている。

 「子供たちの世代に将棋の素晴らしさや奥深さを伝えていきたいと思っています。また地方自治体とも連携を深めて、活性化のお手伝いができたら」と青写真を描く。

 藤井フィーバーで、“観る将”が増えたことも追い風だ。「将棋は日本の誇るべき伝統文化。指すことだけでなく、将棋を通じて楽しんでもらえる場所を提供できれば」と裾野拡大に燃えている。

 ◆羽生善治(はぶ・よしはる)1970年9月27日生まれ、埼玉県所沢市出身。1985年、15歳でプロ入り。89年、初タイトルの竜王を奪取。96年、史上初の全七冠同時制覇。2017年、竜王を奪取して初の「永世七冠」達成。18年、将棋界初の国民栄誉賞。タイトル獲得は99期。棋戦優勝は45回。故二上達也九段門下。妻は96年に結婚した元女優の畠田理恵さん。

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