森口博子 Zガンダム主題歌でデビュー歌い続けて35年 アニソン隆盛のターニングポイントとは?
歌手の森口博子(55)が今夏、アニソンカバーアルバム「ANISON COVERS」をリリースした。累計25万枚超を売り上げた「GUNDAM SONG COVERS」3部作(2019~22年)に続く新企画を始動させた森口は、1985年のデビューから現在に至るまでアニソンを歌い続けた第一人者でもある。現在のアニソン隆盛について、そのターニングポイントを聞いた。
森口は「機動戦士Zガンダム」の主題歌でデビューした。当時のレコード店は、アイドルなら個別にコーナーがあるのに、アニメの主題歌はひとくくり。「聴いてもらえない置いてもらえないっていう悔しいところ」からのスタートで「どうしてこんないい曲なのに扱いが悪いんだろう」と思っていた。
それが今や、Jポップの人気アーティストがこぞってアニソンを手がけ、声優アーティストも全盛、大規模ライブも珍しくない時代だ。森口は、ファンがアニソンを「日本の誇る文化」に育てたと感じている。
自身もブレずに歌い続けた結果、ガンダム3部作は大ヒットし、レコード大賞企画賞も受賞。約30年ぶりにヒットチャートにも返り咲いた。森口は時代の変化に驚きつつ、子供かオタクのものとみなされていたアニソンが一般化したのは90年代と指摘する。
「アニソン歌手だけじゃなくて、普通のアーティストがタイアップみたいな(形で参入してきた)。(ユーザーの)気づきもあったと思う。『これアニソンのタイアップだったんだ、かっこいい!』みたいな。アニソンっていろんな世界を表現するがためのジャンルレスの音楽なので。クオリティーも高いし、壁がなくなってきているのを感じます」
そこまでには「水木一郎さんとか堀江美都子さんが王道なアニソンを歌い続けている時代」があった。「その時代の曲を聴くと、昭和の先輩達が丁寧に作られていて、歌詞もアレンジも、ミュージシャンの方々のクオリティーも、レベルが高すぎてすごい」
それを聴いて育った世代が大人になったのを受け、「『やっぱりアニソンってスイッチ入っていいよね』という熱量の中で、さらに音楽が多ジャンル化してきた。いろんな表現方法が枝分かれしていって」と解説する。
アニソンは今、音楽市場を支えている。「偏見とか食わず嫌いで聴いてもらえなかった時代も経験しているので、聴いてもらえているってすごく実感しています。こんな時代が来たんだって」。森口も夢を信じて歌い続け、時代をつかんだ。
◆森口博子(もりぐち・ひろこ)1968年6月13日生まれ、福岡県出身。85年デビュー。91年から6年連続でNHK紅白歌合戦に出場。フジテレビ「夢がMORI MORI」(92~95年)などでバラドルとしても大ブレーク。2019年、アルバム「GUNDAM SONG COVERS」で日本レコード大賞企画賞。