「頭脳警察」PANTAさん死去 過激で政治的…根底に流れていたヒューマニズム

 反体制の象徴的な存在だったロックバンド「頭脳警察」のPANTA(パンタ、本名中村治雄=なかむら・はるお)さんが7日午前10時44分、肺がんによる呼吸不全と心不全のため東京都清瀬市の病院で死去した。73歳。埼玉県所沢市出身。葬儀は近親者のみで行い、後日お別れの会を開く予定。

  ◇   ◇

 頭脳警察に会ったのは2019年秋、中野の喫茶店「ルノアール」だった。その年の春に花園神社で素晴らしいライブを見たばかりだった。

 この年、結成50周年を迎えた2人は「仲は悪くならない。ケンカして離れたことがない」とTOSHIが言うように、銀婚式を迎えてなお仲むつまじい夫婦のよう。サービス精神豊かなPANTAさんが冗舌に語り、それを寡黙なTOSHIが笑顔で見守っていた。

 過激で政治的にみられがちな頭脳警察だが、始まりは「歌謡曲の世界より、もっと違う道」を志向したこと。PANTAさんによれば、赤軍派の書籍の一節を歌にした「世界革命戦争宣言」が受けて「やめるにやめられなくなった」が、共鳴したのはそのイデオロギーより、そのヒューマニズムだったという。

 PANTAさんは「こんなグループだからもっと早く社会から抹殺されているはずなんだけど、なぜか生きながらえてしまって」と苦笑していた。あれから4年、生きながらえたと言うには早すぎる…。(デイリースポーツ・藤澤浩之) 

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