「頭脳警察」PANTAさん死去 がん闘病2年 家族、相棒TOSHIにみとられ“反体制の雄”伝説に

 反体制の象徴的な存在だったロックバンド「頭脳警察」のPANTA(パンタ、本名中村治雄=なかむら・はるお)さんが7日午前10時44分、肺がんによる呼吸不全と心不全のため東京都清瀬市の病院で死去した。73歳。埼玉県所沢市出身。葬儀は近親者のみで行い、後日お別れの会を開く予定。所属事務所は「闘病の中もROCK魂を貫き、最後の時まで現役の『ROCK屋』としての人生を全ういたしました」との声明を発表した。

 PANTAさんは2021年9月に肺がんと診断された。今年2月1日に体調が急変して入院し、4月14日に退院。6月4日にライブ復帰し、同14日のライブが最後のステージとなった。観覧した人によれば、座って数曲を歌ったという。

 所属事務所によると、2月3日に肺がんを公表した時点でステージ4だった。6月14日のライブ後に発熱して入院。容体が急変し、妻、息子、孫、頭脳警察の相棒で17歳からの仲のTOSHI、所属事務所のプロデューサーにみとられた。話すことはできなかったが、最後まで意思疎通はできたという。

 PANTAさんは1969年、石塚俊明(TOSHI)らと頭脳警察を結成。学生運動の熱気の中、過激な歌詞と自由なメロディーで若者から熱狂的に支持された。70年の日劇ウエスタンカーニバルでは、ステージ上で自慰行為におよぶ伝説の“事件”を起こした。

 過激な表現ゆえ、72年の1stアルバム「頭脳警察1」は発売中止、同年の「頭脳警察セカンド」も発売禁止に。新左翼のイベントにたびたび出演し、左翼のアイドルと称された。主な楽曲に「世界革命戦争宣言」、「銃をとれ」、「さようなら世界夫人よ」、「悪たれ小僧」、「コミック雑誌なんか要らない」などがある。

 75年に解散後、90年に再結成、07年に再々結成。ソロでも「マラッカ」や「クリスタルナハト」などの名盤がある。また、荻野目洋子らをプロデュースし、荻野目や沢田研二、チェッカーズらに楽曲を提供した。

 PANTAさんはニューアルバムを制作中で、ボーカルのレコーディングは全て終えており、来年の結成55周年に向けて次のプランを考えていたという。「歴史から飛び出せ」と歌った男は最後まで現役のまま、歴史の偉大な一部となった。

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