日大アメフト部薬物事件 警察への報告が「10日後」だった謎 捜査に支障も?単独か複数か、期間や入手経路は?小川泰平氏が指摘
日大アメリカンフットボール部の寮で乾燥大麻と覚醒剤を所持したとして、警視庁薬物銃器対策課は5日に大麻取締法違反(所持)と覚醒剤取締法違反(所持)の疑いで部員の大学生の男(21)を逮捕し、日大側は同部の無期限活動停止処分を発表した。日大の林真理子理事長らが8日に会見を行う予定だが、その前に元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏がデイリースポーツの取材に対し、注目点や今後の焦点を解説した。
捜査関係者によると、部員が薬物を寮で使用しているとの情報が大学に寄せられ、大学側が7月6日に調べたところ、少量の植物片と錠剤が見つかったという。大学から連絡を受けた警視庁が鑑定したところ、植物片は乾燥大麻と確認され、錠剤からは覚醒剤の成分が検出された。
小川氏は「7月6日に日大側が違法薬物を発見しているが、警察に相談したのは10日後でした」と、このタイムラグに注目した。
同氏は「大学側がこの件を認識して学生から事情を聞いた後、10日間、警察に連絡をしていません。薬物捜査はスピード感が必要ですが、10日間も警察側の着手が遅れると、その間に持っているもの(薬物等)を処分する可能性があり、体内に入っている薬物は覚醒剤であっても10日もあれば間違いなく抜ける。そういったことを知った上で意図的に日にちを空けたのか、何らかの事情によって結果的に空いてしまったのか」と指摘した。
さらに、小川氏は「今回、警察の内偵捜査から家宅捜索に着手したわけではなく、学生の親御さんが学校に相談し、その後、大学側が学生から事情を聴いて警察に相談しているということで、仕方のない面もあるが、この間隔が空いてしまったということは今後の捜査に多少なりとも支障が出て来るかもしれない」と補足した。
また、容疑者となった部員は薬物の使用を否定しているというが、小川氏は「尿検査の任意提出はしているでしょう。その検査によって使用していたか否かについては分かるのだが、日数が経過している点が問題だと思います」と解説した。
その上で、同氏は「大麻が大学の運動部で使用されて逮捕者が出た事例はこれまでもありましたが、覚醒剤は全くなかったわけではないが、非常にレアなケースだと思います。この錠剤に関しては、まだ名称は分かっていないが、日本人が旅行に行く海外で簡単に入手できるものもあり、それが今回の薬物かどうかは分からないが、どういった種類のものが気になります」と付け加えた。
今後の捜査ポイントについて、小川氏は「重要なことは、個人で使用していたのか、複数でやっていたのかということ。日大アメフト部は相当の人数が寮に入っていると聞いていますので、部屋の中ではなく、屋上などでやっていた可能性もある。そこで1人でやっていたのか、複数が関わっていたのか。あとは、誰が最初に薬物をやろうとしたのか。その、とっかかりの部分ですね。また、どのくらいの期間や頻度でやっていたのか。購入方法や入手先はどうだったのか。そういった点について、警察は裏付けを進めながら捜査していくことになる」と説明した。
日大は8日に林理事長、酒井健夫学長が記者会見を開く予定。果たして、どこまで具体的に踏み込んだ内容になるのだろうか。
小川氏は「今回、親御さんが学校に相談しなければ、明るみに出なかったわけです。いつごろから、日大アメフト部の寮に薬物があったのか。使用していたとすれば、それはいつからか。数年前からなのか、ここ最近のことなのか。真相究明が待たれます」と注目した。