【中村竜太郎のタイガー&ドラゴン】アーティストへのリスペクトあればセクハラは絶対しない
〈数人が突然私の胸を触ってくるというセクハラを受けました〉
韓国出身の人気DJ、DJ SODAさんが大阪で行われた音楽フェスのライブ中にセクハラ被害を受けたことをX(旧ツイッター)で発言。一連の投稿は1億回以上、閲覧されるほどの話題となった。日本からは同情や謝罪の声が多かったが、一方で「派手な格好しているほうが問題」「そうなるのがわかっていて観客に近づいた」「大げさに騒いで注目されたい」、はては「彼女は反日で、日本でのみ被害を訴えている」というアンチの意見が噴出した。
まさにセクハラ被害者が受ける二次被害といえるが、「根底にはいくつかの差別があると思います。まず肌の露出の多いセクシーな洋服を着る女性への蔑視。次に韓国人への潜在的な差別感情。そして『チャラチャラしたパリピーがバカ騒ぎして踊る音楽』というふうに言われるクラブ・ミュージックへの偏見です」(音楽業界に詳しい弁護士)
そして音楽フェス主催者が、容疑者不詳のまま男女3人を不同意わいせつや暴行の疑いで大阪府警に刑事告発する事態になった。
セクハラ加害者が悪いのは当たり前なのだが、ネット上では依然、音楽ライブのあり方に対する誤解がまん延している。「レディ・ガガは体を触られてもそんなクレームは言わなかった」「体を触られるのはファンサービス」「テンション上がったら仕方ない」等々。
ロックのライブではダイブ(客席に飛び込む)やクラウド・サーフィン(体を支えられ観客の頭上を泳ぐように移動する行為)が行われることがあるが、そうした行為が禁じられるケースもあり、過去にはそうした状況で女性客の体を触った男性客をアーティストが注意し演奏を止めたことがある。
ライブは非日常を楽しむ“お祭り”ではあるが、もしもセクハラを受けて悲しい気分になってしまうと、楽しいはずの催しが台無しだ。みんながハッピーな気分になって終わるのがライブの理想型。そこにはお互いのリスペクトが最も必要だといえる。
それでいうとDJ SODAさんの場合はどうだろうか。アーティストを本当にリスペクトしていれば、セクハラは絶対にしないはずである。