東京都の自宅で大麻を所持したとして、大麻取締法違反（所持）の罪に問われた俳優の永山絢斗被告（３４）は２８日、東京地裁（寺尾亮裁判官）の初公判で起訴内容を認めた。法廷では約２０年前に初めて大麻を使用し、１０代から継続的に使ってきたことが明らかとなった。検察側は依存性が認められるとして懲役６月を求刑。弁護側が執行猶予付きの判決を求め、結審した。判決は９月１日。

　白いマスクで表情はうかがえなかったが、ダークスーツはややだぶつき、やつれた印象をにじませた。職業を聞かれた永山被告は、数秒の間を置いて「…俳優です」と返答。今後について「許されるなら、機会があるなら、表現の仕事がしたい」と述べた。終始、覇気はなく、時折聞き取れなくなるほどのボソボソ声に裁判官から２度、注意が飛んだ。

　冒頭陳述や供述調書によると、大麻を初めて使用したのは中学２年生の夏。音楽イベントで地元の先輩に勧められたが、気持ちが悪くなり、すぐに吸うのをやめたという。１８～１９歳の頃、再び知人の家で飲酒中に勧められ、以降は継続的に使用。安心感を得られ、よく寝付けることを理由に、タバコと混ぜて吸引してきたという。

　検察側は、周囲から大麻をやめるよう注意されていたのに続けたと指摘。寺尾裁判官から仕事で迷惑をかけると考えなかったのかと問われ「何度も思ったが、まさか自分が捕まるとは思わず続けてしまった」と話した。

　６～７年前から大麻を購入してきた密売人との縁を絶つべく、現在は携帯電話の番号やアドレス、ＳＮＳのアカウントを変更。実家で母親と同居し、常にＧＰＳ機器を持ち歩いている。所属事務所からも支援を続けるとの上申書が寄せられた。

　最終意見陳述では「自分の甘さと弱さから多くの人に迷惑をかけてしまった。限りある時間の中で、自分の心にしっかりとしたブレない軸を作って、一日一日を大事に過ごしていきたい。大変、申し訳ございませんでした」と謝罪。今後の寝付きは、ストレッチと運動でよくするという。

　永山被告は６月１６日に警視庁に逮捕され、東京地検が７月６日に起訴。来年のＮＨＫ大河ドラマ「光る君へ」で藤原隆家役が決まっていたが、既に降板が発表されている。