濱口竜介監督 黒沢明監督以来!日本人2人目の世界制覇 ベネチア国際映画祭 銀獅子賞
濱口竜介監督(44)の映画「悪は存在しない」(来年公開予定)が9日夜(日本時間10日未明)、イタリアで開催された第80回ベネチア国際映画祭の授賞式で、最高賞の金獅子賞に次ぐ銀獅子賞(審査員大賞)に選ばれた。濱口監督はカンヌとベルリンの両国際映画祭、米アカデミー賞でも賞を射止めており、世界三大映画祭のコンペティション部門と米アカデミー賞の全てで賞を獲得するのは、日本人では黒沢明監督以来の快挙となった。
若き名匠が、またも世界で喝采を浴びた。
21年に「偶然と想像」でベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員大賞)、「ドライブ・マイ・カー」でカンヌ国際映画祭脚本賞。22年に「ドライブ-」で米アカデミー賞国際長編映画賞を受賞し、今回のベネチアで銀獅子賞。受賞後のスピーチで「素晴らしい賞をいただけるとは、企画が始まった時には全く考えていなかった。本当にうれしく思っています」と、トロフィーを手に喜びを口にした。
約2年前に音楽家の石橋英子からライブパフォーマンス用の映像制作の依頼を受けたのをきっかけに、濱口監督が脚本を書き下ろした作品。長野県の集落を舞台に、コロナ禍で経営難に陥り、政府の補助金を得てグランピング施設の建設を計画する芸能事務所が、集落の水源に汚水を排出しようとしていることが分かり、地域に動揺が広がるさまを描く。
授賞式後には主演の大美賀均(34)と取材対応。濱口監督は「企画を始めた当初は、海のものとも山のものともつかないような企画ではあったので、ここまでたどり着けたこともすてきだと思います」と感慨深げ。壇上からの光景を「チームのメンバーがいる辺りが光って見えた。一緒にやってこられて本当に良かったと思い、胸がいっぱいになった」と振り返り、「自分達にとっては一番いいものをいただいたという感じ」とうなずいた。