藤井聡太七冠 八冠へM2 王座戦214手の死闘制しタイに戻した 「難しい局面が多かった。切り替えて第3局に」
将棋の第71期王座戦五番勝負第2局が12日、兵庫県・ホテルオークラ神戸で行われ、藤井聡太七冠(21=竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖)が永瀬拓矢王座(31)に214手で勝利した。第1局を先手番で落とした藤井七冠は、相入玉の点数勝負となる可能性も浮上した大熱戦を粘り強い差し回しで制し、シリーズ成績は1勝1敗のタイに。反撃ののろしを上げる勝利で、前人未到のタイトル全八冠制覇へ向けてまた一歩前進した。
八冠制覇へ大きな1勝だ。藤井七冠は、永瀬王座得意の粘りにも屈せず、214手の死闘を制し、連敗阻止に成功。終局は午後10時過ぎの激闘だった。開幕局は今期無敗だった先手番でまさかの黒星、本局も後手番という逆風の中でシリーズ初白星をつかんだ。
普段は相手の作戦を受け止める印象の強い藤井七冠が、序盤からいきなり工夫を見せた。用意したのは居飛車ながら自分から見て右側に玉を囲う「右玉」。持久戦模様となり、難解で一進一退の中盤戦で、ほぼ互角のまま夜戦に突入した。
終盤には両者1分将棋となり、一時は劣勢となったが、永瀬王座の攻めを巧みにかわし、自玉を上部へ脱出させ入玉に成功。攻め手がない永瀬王座も玉を上部へ逃がし、持将棋成立での引き分けを目指したが、最後は藤井七冠が鮮やかな手順で即詰みに討ち取った。
藤井七冠は「序盤は右玉にしてみたんですけど、その陣形をまとめるのに苦労した。角を使って端を攻められて、その手順が思っていた以上に厳しく、夕食休憩の後にはっきり苦しいと思っていた。全体を通して難しい局面が多かったと思いました」と振り返った。
第3局は27日、名古屋市の「名古屋マリオットアソシアホテル」で指される。「改めて三番勝負になるので、気持ちを切り替えて第3局に臨みたい」と死闘後にも目には闘志が燃える。愛知県瀬戸市出身の藤井七冠にとっては地元対局。地元の応援を背に、2連勝で一気に八冠制覇に王手をかける。