市川猿翁さん死去、83歳 香川照之の父「新たな道を切り開いた俳優だった」【追悼全文】
宙乗りをはじめとする“スーパー歌舞伎”で知られ、歌舞伎界の革命児と呼ばれた歌舞伎俳優・市川猿翁=本名・喜熨斗政彦=さんが13日午前6時55分、不整脈のため亡くなった。83歳だった。市川中車としても活躍する俳優・香川照之の父。2003年に脳梗塞を起こしてからは、舞台での芝居からは遠ざかり、13年12月に京都・南座で行われた「二代目市川猿翁 四代目市川猿之助 九代目市川中車 襲名披露」の口上に姿を見せたのが公の場での最後となった。
猿翁さんは三代目猿之助を1963年に襲名。当時の歌舞伎界では邪道とされたケレンの演出を次々に復活させ「猿之助歌舞伎」として観客から高い支持を受けた。「ヤマトタケル」「オグリ」「新三国志」シリーズなど多くの作品を作り上げた。5000回を超える宙乗りの偉業はギネスブックにも登録された。
私生活では女優の浜木綿子と1965年に結婚。長男の俳優・香川照之(九代目市川中車)をもうけたが、68年に離婚。原因は16歳年上の女優の藤間紫さんとのW不倫だった。藤間さんが離婚し、2000年に正式に結婚したが、2009年に藤間さんが肝不全で死去している。
香川は15日、松竹を通じてコメントを寄せた。
【以下、全文】
9月13日、父、二代目市川猿翁が天命を全う致しました。
長く険しく、それでも「夢」に邁進した歌舞伎俳優人生でした。
一生涯をかけて、新たな道を切り開き、如何なる時も、天翔ける心を持って、成し遂げた俳優だったと思います。
多くの人々に愛され、自らの歌舞伎道を全う出来たことは、本当に幸せなことだったと思います。
皆様、これまで父を愛してくださいましたこと、誠にありがとうございました。
心より厚く御礼申し上げます。