市川中車 揺るがぬ父・猿翁さんへの尊敬「私にはかけがえのない誇り」 家族葬で悲しみの対面か

 歌舞伎俳優の市川中車(香川照之=57)が18日、自身のX(旧ツイッター)を更新。13日に83歳で死去した父で歌舞伎俳優の市川猿翁(いちかわ・えんおう、本名喜熨斗政彦=きのし・まさひこ)さんへの思いを改めてつづった。中車は長く闘病生活を送った父の胸中をおもんぱかり、尊敬の念を吐露。この日は京都・南座での「九月花形歌舞伎『新・水滸伝』」に出演後に帰京し、悲しみの対面を果たしたとみられる。

 文面には父への思いがあふれ出ていた。「信ずれば叶う、天翔ける心--猛優として『夢』に邁進した歌舞伎俳優人生でした」。歌舞伎の可能性を押し広げてきた革命児の生きざまに「自らしか成し得ない歌舞伎道を最後まで全うしたことは、私にはかけがえのない誇りです」と揺るがぬ尊敬の念を込めた。

 父と母で女優・浜木綿子の離婚に伴い、一度は絶縁状態となった親子関係だったが、45年越しに和解。11年に行われた「四代目猿之助、九代目中車」の襲名披露会見では不自由な父の体を支えた。中車は「病に倒れてからの二十年近い年月は、父にとって長く厳しく辛いものだったに違いありません」と父の心情をおもんぱかり「寂しいけれど、これまで通り前に進んでいきます」と、父の思いを継ぎ歌舞伎道をまい進していくことを誓った。

 中車はこの日、「-『新・水滸伝』」に出演。その後のトークショーはキャンセル。19日はもともと休演日となっており、家族葬が営まれた都内の喜熨斗家の菩提寺で、中車も父と悲しみの対面を果たしたとみられる。

 寺院には多くの報道陣が集結し、厳重警備が敷かれるなど、物々しい雰囲気が漂った。市川猿弥(56)らが姿を見せ、歌舞伎関係者が報道陣の取材に「感謝しかないです」と話すなど、多くの俳優や関係者が別れを告げた様子だった。

 また、猿翁さんの遺体が安置されていた都内の斎場には、弟子の市川右團次(59)が弔問。自身のブログで「今日の午後…恩師とのお別れに…家族で伺って参りました…」と明かし、「素晴らしいお顔を拝見致しましたが… 正に…現役時代の面影そのものでした… 一生涯…忘れることはありません…」と最後の別れを惜しんだ。

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