坂東彌十郎 声詰まらせ猿翁さんへの思い「『あんた、よく泣くね』ってよく言われました」
歌舞伎俳優の坂東彌十郎(67)が26日、東京・歌舞伎座で行われた歌舞伎座新開場十周年・錦秋十月大歌舞伎の夜の部公演「水戸黄門」(同所で10月2~25日。休演10、17日)の取材会に出席。今月13日に死去した歌舞伎俳優の市川猿翁さん(享年83)への思いを語った。
1983年から15年、猿翁さんの門下に入り、一門の若手で構成する21世紀歌舞伎組のメンバーとしても活動。猿翁さん演出のオペラ「コックドール」などで演出助手を務めるなど関わりが深かった彌十郎は「猿翁さんの話になると泣きそうになってしまうので…」と声を詰まらせ「もう教えばっかりですね」と瞳を潤ませた。
猿翁さんからは「『あんた、よく泣くね』ってよく言われました」と明かし「『とにかく感動しなさい。物に感動しなさい。きれいな景色を見て、おいしいものを食べて感動しなさい。人の何倍も感動して、やっとお客さまに少しでも感動してもらえるようになる』って。いまだにそれだけは秘めてます」と述懐。「全部頭によみがえってきます」と存在の大きさを明かした。
今作では自身初めて水戸黄門役を演じる。父の坂東好太郎ら多くの役者が演じた“黄門様”へのオファーに「一瞬ビックリした」としつつ「終わった時に良かったと思ってもらえるように努力しております」と意気込んだ彌十郎。身長183センチで「水戸黄門史上一番背が高い」という反響も明かし「身長的には違和感を持たれてしまうかもしれませんが、ほっこりして、にこやかに帰っていただける水戸黄門になりたいと思います」と決意を口にした。