財津一郎さんCM起用のタケモトピアノ 訃報に哀悼「やり切れない」 赤ちゃんが泣きやむという伝説も
コメディアンで俳優の財津一郎(ざいつ・いちろう、本名・永栄=ながひで)さんが14日午後5時、慢性心不全のため都内の自宅で死去していたことが19日、分かった。89歳。熊本市出身。
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財津さんをCMに起用していたピアノ買い取り、販売のタケモトピアノ(大阪府堺市)の担当者は、関係者から訃報を知らされ「びっくりしました。最近まで自身で車を運転し、ゴルフをしていたと聞いていた。にわかに信じがたい。やり切れない」と声を落とした。
財津さんが出演する同社のCMは、2000年に始まった。「それまでCMを流しても反応がなかったが、財津さんが出演してから大反響になった」と振り返る。CMが流れると、赤ちゃんが泣きやむという伝説も。令和生まれの幼児にまで知名度があった。
約23年間流れたCMは、8月に放送が終了。放映契約も9月で満了した。今後、放送予定はないという。「長きにわたってお世話になったので、せめてごあいさつに行きたいと(財津さんの)事務所とやりとりをしていた。その矢先のことなので…」と、同社にも動揺が広がる。
財津さんの死が報じられると、タケモトピアノのホームページにはアクセスが殺到。「タケモトピアノの名前を広めた功労者だった」と感謝する。財津さんは生前、関係者に「タケモトには知らせないと」と訃報を伝えるよう言い残していたといい、CMへの強い思いをのぞかせていた。