【気象予報士・天達武史コラム】11月に異例の夏日!記録的暖冬になるかも 心配なのは「ドカ雪」
11月に入り季節は晩秋へ。普段ならコートの出番も出てくるころですが、今年はコートどころか半袖の出番もありそうな11月のスタートになっています。異例の暑さの原因は中国大陸の異常な高温です。その暖気が西風に乗って日本列島にも流れ込んできており、11月なのに異例の夏日になっています。
この暑さは連休明けにはおさまりそうですが、今年の冬は記録的な暖冬になるかもしれません。その原因の一つが大規模なエルニーニョ現象、いわゆるスーパーエルニーニョの発生です。エルニーニョ現象は、太平洋赤道域東部で海面水温が平常時より0・5度以上高くなることをいいますが、3度前後高くなるとスーパーエルニーニョと言うことがあります。
現在すでに2度以上高くなっていますが、海面水温が高くなるとその周辺で水蒸気量が増えて例年より雲が発達しやすくなり、大気はつながっていますので遠く離れた地域にも異常気象をもたらします。ブラジルのアマゾン熱帯雨林では干ばつの被害が深刻化しています。
日本もエルニーニョ現象が発生すると大気の流れが変わり、シベリアから寒気が流れ込みにくくなり、暖冬の可能性が高くなります。過去に大規模なエルニーニョが発生した2015年には12月に入っても夏日になるなど半袖で外出する人もいたり、スキー場の雪不足など暖冬の影響がでました。今年は8年ぶりにスーパーエルニーニョが発生し顕著な暖冬になるかもしれません。
暖かくなる一方、心配なのは短期間に一気に降る「ドカ雪」です。いま日本周辺の海面水温が平年よりかなり高くなっているので、一時的に寒気が南下してきたときには大量の水蒸気が冷やされ、暖冬でもドカ雪になることがあります。最近雪国では積雪ゼロから短期間に1メートル以上一気に積もり、高速道路の閉鎖や大規模な立ち往生などが発生したこともあります。
関東など太平洋側は暖冬のときはカラッとした冬晴れが長続きせず、頻繁に低気圧が通過していつもより雨の日が増える傾向にあります。「暖冬」は12月~2月の平均気温で決まるので、日々の寒暖差が非常に大きくなることがあります。むしろ暖冬の年は寒気が居座らない分、日本列島を寒気が出たり入ったりして寒暖差が大きくなりがちです。この冬は天気予報をこまめにチェックして早めに備えましょう。
◆天達武史(あまたつ・たけし)1975年生まれ。神奈川県横須賀市出身。高校時代は野球部に所属。2002年に気象予報士試験に合格。05年10月からフジテレビ系「情報プレゼンターとくダネ!」、21年3月から「めざまし8」のお天気を担当。