宝塚歌劇のスターシステムの根幹「新人公演」 負担を強いた“長の期”って何?負担軽減策提示
宝塚歌劇団は14日、宝塚市内のホテルで歌劇団員の女性(当時25歳)が転落死した件で会見を開き、「いじめやハラスメントは確認できなかった」としたものの、長時間の過重労働だったことは認めた。
亡くなった劇団員は、入団7年目までの生徒だけで役代わり上演される「新人公演」(新公)で、「長の期」と呼ばれる最上級生だった。下級生を指導し、新公を取りまとめる立場に。さらに「長の期」の中でも最も成績上位で、「長の期の長」と呼ばれていた。
宝塚はトップスターを頂点としたスターシステム。トップになるには、宝塚と東京の本公演中に、それぞれ1回ずつ上演される新公で主演することがスタート。平成以降の54人のトップで、新公を主演していないのはわずか1人。主演した全員がトップになれるわけではないが、登竜門であることには間違いなく、スターシステムの根幹をなしている。
今回、長の期となった同期5人のうち2人が退団し、1人が休演。亡くなった劇団員を含む娘役2人のみで「長の期」の仕事を担うことに。調査結果でも「過密なスケジュールの中、長の期の長として、切迫感と重圧があったと認められ、その心理的負荷は小さくなかった」と指摘された。
具体的には、例えば本公演では10人でのダンスシーンが新公では6人になった場合、どう劇団員を並べるかを決める役割などを負っていた。さらに衣装を本役から借りる場合、体形の問題もあり誰がどの上級生の衣装を借りるのかも、長の期が取りまとめていた。
会見では、新人公演に出演する長の期の負担を軽減するため、業務分担の見直し、簡素化・効率化を進めることを明言。本公演の初日直後から始まっていた稽古の負担後大きいことから、開始日をずらし、新公実施日も1週間遅らせる案を示した。